約 5,648,320 件
https://w.atwiki.jp/vip_witches/pages/408.html
流星Ⅱ 1 俺「ストライクウィッチーズね!」 531- 作者 ID zhe7qJGw0 総レス数 XXX このページでのレス数 XX 531 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/26(金) 22 15 31.38 ID zhe7qJGw0 あらすじ 第501統合戦闘航空団"ストライクウィッチーズ"ができる前――北欧の地、森と湖の国スオムス。 ここには各国から"優秀な"ウィッチが集められた、"スオムス義勇独立飛行中隊"があった。 扶桑のエースとおちこぼれレズコンビ。ブリタニアの不良スモーカー。 リベリオンのお気楽巨乳。カールスラントのメガネ無口。 スオムスの苦労人。 この6人こそスオムス義勇独立飛行中隊。通称"いらん子中隊"であった。 そんな個性的すぎるメンツに俺は7人目のいらん子として飛び込んだ。 少しずつ、少しずつこの隊に馴染んでいく――いや、馴染んでしまう俺。 今日も俺はため息を吐きながら姉の形見の箒に乗り、ほうき星になるのだった。 「流星」 第二章 『虹色の乙女?』 532 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/26(金) 22 20 28.44 ID zhe7qJGw0 俺「赤いリボンー?」 1940年2月21日。 昨日行われたヴォスク鉄橋への爆撃は無事に成功し、 次の作戦――明後日まで、今日という日を休日にする運びとなった。 ハルカ「そうなんですよ。今日の朝ちょっと早く起きたんですけど、そんな女の子を見まして」 今は朝食の時。並ぶ食事はいつものメニュー。 そこで迫水ハルカは話題を振ったのだった。 智子「ふーん‥‥朝ねぇ」 キャサリン「皆おつかれだったんじゃないかねー」 エルマ「寝てましたね」 ビューリング「赤いリボン‥‥か」 智子「寝ぼけてたんじゃないのー?」 一口サイズにちぎったパンを口に放り込みながら智子は言う。 533 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/26(金) 22 25 10.36 ID zhe7qJGw0 ハルカ「うーん、そうだったんですかねえ」 俺「お化けでも見たんじゃないかー」 どうでもいいとばかりに適当な受け答えをすると俺はスープを口へ運んだ。 ハルカ「お、おばけ!?」 ガタッと机を揺らすハルカ。スープが溢れ、不機嫌な目になるウルスラ。 ハルカが予想以上に萎縮したのをみて、キャサリンの中の悪魔が目を覚ます。 キャサリン「この基地で昔落とされたウィッチね~‥‥ 飛べなくなった無念で、落ちこぼれのウィッチにとって代わろうとしてるね~‥‥」 両手をその豊満な胸の前で垂らし、いつもより低い声で演技している。 テンプレって感じ。 ハルカ「ひぃー!」 悲鳴と共に隣に座っている、今しがた朝食を食べ終わった智子に抱きつく。 智子「ちょっ‥‥そんなに怖がらなくても――ひゃぁ!」 もはや聴き慣れた声を耳にする。 ハルカの手はスカートの中に滑りこんでいた。 その手さばきは目で追うのがやっとだ。 534 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/26(金) 22 27 47.61 ID 1z6imQtl0 流星ktkr 週末はスタゲさんも来るかもだしハイレベルな面子が揃いそうだなw 535 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/26(金) 22 30 18.59 ID zhe7qJGw0 すぐさま智子の拳がハルカの脳天に落下する。 ハルカの瞳が星型に変わった。 智子「あんたはほんとにもー!」 首をブンブンと振り普段の可愛らしい顔に戻るハルカ。 ハルカ「えへへ‥‥でも本当にあれはなんだったんでしょうか。ま、まさかほんとに」 キャサリン「ハルカは気を付けないといけないねー!」 俺「落ちこぼれって意味だったら、おまえもあまり他人ごとじゃないんじゃないか」 ウルスラ「非科学的」 智子「ま、第一中隊の子が今日から付けだしたとか、そんなんでしょ」 ハルカ「うーん‥‥」 どうにもハルカは納得がいかない様子。そんなに気になるもんなのか? ‥‥赤いリボン、ねぇ‥‥ 536 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/26(金) 22 36 07.22 ID zhe7qJGw0 ……… …… … 俺達は朝食を食べ終わると、さっそく訓練をするため格納庫へ向かった。 前回の爆撃時のように、重たいものを持ったときの回避を学ぶらしい。 俺「それで? これなんだよ」 目の前には背丈の半分ほどのドラム缶が3本並んでいる。だいたい先日の爆弾と同じようなサイズだ。 智子「訓練で本物の爆弾使うわけにはいかないでしょ」 俺「まあ‥‥それで?」 智子「だからコイツに雪を詰めた奴を変わりに使うのよ」 俺「それでも重さがぜんぜん違うだろう」 前回作戦で使用した爆弾は60キロ爆弾。このドラム缶の重さは知らないが‥‥ ビューリング「何だ知らないのか」 俺「は?」 ビューリング「この隊にはなんでも出来てしまう魔法使いがいてな」 俺「‥‥」 12個の様々な色の瞳がこちらを見つめる。ため息。 537 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/26(金) 22 40 22.44 ID zhe7qJGw0 エルマ「お、おねがいします! 訓練のためなんです!」 俺の表情を読んだエルマが頭をさげる。 ほんと、エルマはいい子だなあ。年上だけど。 キャサリン「減るもんじゃないねー」 俺「バッチリ魔法力が減るんだが」 ハルカ「お願いします!」 俺「‥‥はぁ」 この溜息は肯定のため息だ。仕方ない、という意味が込められている。 俺「‥‥‥‥雪を圧縮すればいいのか?」 ビューリング「たのんだぞ」 そんなセリフを吐く彼女の顔は憎たらしい笑顔だった。 ‥‥今度火がほしいって言ってきたら意地悪でもしてやろうか。 538 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/26(金) 22 45 16.80 ID zhe7qJGw0 ……… …… … リュウセイが魔法を使いドラム缶に雪を詰めている。 人の手でやってもいいがこっちのほうが早いと言ってると、 いつものため息と共にやってくれた。 なんだかんだで頼めばやってくれるあたり便利‥‥いや、さすがに失礼か。 こんど酒でもおごってやろう。好きらしいからな。 ‥‥わたしも変わったな。こうやってマジメに訓練にも参加しているし、人に酒をおごろうとまで考えている。 あの頃のわたしが知ったらどう思うだろう。 そんなことを思いつつタバコを咥え―― またやってしまった。今わたしのライターは雪を詰める作業をしている。 交流にもなるだろうと今まで頼んでいたが、やはり一人で好きに吸えないのは拷問に等しい。 いや、あいつがそばにいるのが嫌というわけでもないのだが‥‥ ‥‥わたしは何を言っているのだろう。 今日の午後は久々に訓練をサボって買いにでも行くか。 と、彼がこちらを見ていた。‥‥こちら一人の都合で彼の作業をいちいち止めるのも悪い。買いに行こう。 そう決意するとわたしは息を吸いながら目配せし、彼の指の音を待った。 ‥‥仕返しでもしてくるかと思ったが、そんなこともなかったな。 539 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/26(金) 22 50 14.01 ID zhe7qJGw0 ……… …… … 俺達は基地上空へ来ていた。 智子「じゃあとりあえずわたしからやるわ」 ハルカ「じゃあわたしもやります!」 三人がまずドラム缶を持って爆撃役をやる。 他の四人がネウロイ役をやるという寸法だ。 智子「じゃあ最後の一人は‥‥ウルスラ、お願い」 ウルスラはコクンと頷く。 俺「じゃあ三人とも、ドラム缶持って」 ドラム缶3本は全て俺が魔法で持ち上げている。 正直今日は魔法力を使い過ぎている。午後は休ませてもらうつもりだ。 540 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/11/26(金) 22 51 00.44 ID 0T8ZbbBu0 クソッ ビューリングとくっつける気満々じゃねーかクソッ 542 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/26(金) 23 00 19.63 ID zhe7qJGw0 三人がしっかり持つのを確認すると浮かせる魔法を解除する。 ハルカ「おわっ! きゅ、急に重くなりましたね‥‥」 智子「これぐらい造作も無いでしょ、ウィッチなんだから。 それじゃあ始めましょう」 キャサリン「10数えるねー!」 キャサリンは大きな声で数字を数えだした。 まるで子供みたいだ。 その間にドラム缶を持った三人はそれぞればらばらの方向へ逃げる。 544 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/26(金) 23 05 31.51 ID zhe7qJGw0 キャサリンが10を数え終わる。 俺「さて、どうす――」 キャサリン「待つねー!」 俺「お、おい!」 相談しようとした矢先、キャサリンはハルカの逃げた方向へ飛び出していってしまった。自分の実力をよく分かっているらしい。 ビューリング「‥‥まあいいだろう。あのイノシシ、いや牛か? ――にはハルカを追い回してもらおう」 エルマ「そ、そうですね‥‥」 俺「じゃあ残りはウルスラ、そして智子か‥‥」 エルマ「わたし、智子中尉に追いつける気がしません‥‥」 シュンとするエルマ。かわいい。 俺「だろうな、俺も自信ない。じゃあエルマはウルスラを、俺とビューリングで智子でいいか」 ビューリング「まあ、アイツ一人を退屈させるのもあれだしな」 そういうとビューリングは顔つきが変わる。 スイッチが入ったようだ。隊のエース相手ともなれば本気を出してもいいと踏んだのだろうか。 エルマ「じゃあ決まりですね。行きましょう」 各々がそれぞれの顔を一瞥すると、それぞれのターゲットへ向かって飛翔して行った。 732 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 06 20 08.54 ID izl/qcEN0 544から ……… …… … キャサリン「まつねー! ハルカー!!」 ハルカ「待てっていって待つ人は居ませんよー!!」 ハルカとキャサリンという、いらん子の逆2トップの世紀の対決がここに実現した。 爆弾という重りを持っているので、ハルカのほうが速度が遅い。 グングンとその距離は縮まり、キャサリンはハルカを射程圏に入れた。 今回は背中にタッチされると撃墜とするルールとなっている。 キャサリン「いくねハルカー! とりゃー!」 まっすぐハルカに突っ込む。敵に突撃する合図を送るとは、ずいぶんと律儀なネウロイである。 もちろんというか、横に避けるハルカ。 733 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 06 25 07.73 ID izl/qcEN0 キャサリンは勢い余って、急降下してしまった。 避けたハルカも持っている爆弾の重さに引っ張られバランスを崩し、よろよろと空中をさまよう。 キャサリン「おーっと! 勢いつけすぎたねー!」 大きく旋回しふたたび上空へ移動するキャサリン。 一方ハルカはなんとかバランスを修正し、安定した。 遠目で見るとあんなんでウィッチをやっているのが甚だ疑問であるかのようにフラフラと飛行する二人のウィッチ。 もはやいらん子のマスコットなのではないか。 遠くから見ていた智子はそう思いつつ頭をかかえるのだった。 734 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 06 30 13.79 ID izl/qcEN0 と、後ろから音が聞こえてくる。 振り返ると、リュウセイとビューリングが近づいてきていた。 智子「ちょっと、私には二人がかりなの?」 ビューリング「そうでもしないとエース様には手が届きそうにないんでね」 俺「余裕だろ? 巴備前さんなら」 ふたりとも微妙な笑顔を浮かべている。 口元だけなら笑っているようだが、その目は獲物を狙う目だった。 こいつら‥‥ 智子「こっちは爆弾なんて持ってんだから手加減しなさいよね!」 そう吐き捨てると、出力を上げた。 735 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 06 35 20.18 ID izl/qcEN0 速度を上げると二人も付いてくる。 重りがあるため普段より遅いらしく、簡単に追いつかれてしまった。 ‥‥振り切ることは不可能。ならば技術でかわし続けるしか無い。 水中の獲物に狙いを定めるように、上空から見下ろす二人。 と、リュウセイがまっすぐ突撃してきた。 智子「直線的すぎるんじゃないの!」 ギリギリまで引きつけ、体を振る。 手で持つ重りによる余剰な力を考慮して、適切な力で避けた――はずだった。 突撃すると思われていたリュウセイは直前で宙返り。 その影からビューリングが迫っていた。 736 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 06 40 10.85 ID izl/qcEN0 智子「くっ‥‥」 智子の動きを見てからビューリングは加速をかける。 智子「なら!」 急減速。すると普段よりも速い速度で落下していく体。 だがこれだけでは振り切れ―― と、ビューリングはまっすぐ過ぎ去ってしまった。 智子「ふふん、なによ。おじけ――」 俺「どこを見ている!」 ほぼ垂直に落下してきたリュウセイの手が私の背中に触れた。 737 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 06 45 09.89 ID izl/qcEN0 ……… …… … エルマ「てぇーい!」 上から降りてくるエルマをウルスラは軽く右へかわす。 エルマ「うわっとと」 勢いが少しつきすぎていたエルマは高度を維持しようとする。 その上の空間へウルスラが陣取った。 エルマ「うっ‥‥その重し、落とさないでくださいよ?」 肯定も否定もしないウルスラにエルマは少しだけ、ほんの少しだけ恐怖した。 追う立場だったはずなのに、いつの間にか振りきらなくてはならない状況になってしまっている。 なんとかしないと。 エルマは体を左右に揺らし、隙をついて上昇した。 今度はこっちが上を取る! と、ウルスラの居た方を見るともうだいぶ距離を離されていた。 あわてて、ウルスラを追い始めるエルマ。 この間、ウルスラは涼しい顔をしていた。 738 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 06 50 22.58 ID izl/qcEN0 ……… …… … キャサリン「もらったねー!」 ハルカ「ひゃー!」 さっきから変わらない調子でフラフラと、まるで虫が飛ぶように規則性のない動きで飛び回る二人。 もう何度目かわからないキャサリンの降下をハルカはすんでのところでかわそうとした。 が、伸ばしたキャサリンの手が爆弾という名のドラム缶に当たってしまった。 ハルカ「うわあ!」 キャサリン「あうち!」 急に別の力が加わったドラム缶は、ハルカの手を離れ空中に放り出されてしまった。 慌ててドラム缶を追うため降下するハルカ。 キャサリンはどうやら不意にあたったドラム缶が痛かったらしく、手に息をふきかけている。 ドラム缶は予想以上のスピードで落ちていく。 ハルカも追いつこうとスピードをあげる。 739 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 06 55 13.02 ID izl/qcEN0 ハルカ「――っとどいた!」 ドラム缶を両手でしっかりと挟む。 白色の地面はもうすぐそこまで迫っていた。 ハルカ「やばいやばいやばい!」 すぐさま急ブレーキ。が、ウィッチは急に止まれない。 白い地面がぐんぐんと迫る。 下に向けたユニットから生まれる風が雪をケチらしていき、その吹き飛ばされる雪がどんどん多くなる。 ハルカは思わず目をつぶった。 ハルカ「止まってえええ!」 ユニットの先端が雪に届き――そこでベクトルの向きが変わった。 ぐんぐんと上昇するハルカ。 ハルカ「はぁ~‥‥」 今まで肺に止めていた息を全部吐き出す。全身の力を抜き、ただただユニットに身をまかせる。 と、肩を叩かれた。 振り返ると満面の笑みを浮かべた少女の顔があった。 キャサリン「ハルカの負けね!」 740 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 06 57 18.76 ID izl/qcEN0 ……… …… … エルマ「なんとか捕まえられましたー‥‥」 他の組から遅れること数分。エルマもウルスラの背中を触ることができたらしく、 俺たちが集まっている地点まで来た。 キャサリン「おそかったねー」 エルマ「ウルスラさん意外とすばしっこくて‥‥」 俺「へぇ、やるもんだな」 ウルスラは少しだけ口をすぼめ、俺から視線をそらす。 ‥‥もしかして照れているのだろうか。 エルマ「あれ? 智子中尉とビューリング少尉は?」 ハルカ「あっちです」 ハルカの指差す先には、ドラム缶を持ったビューリングを智子が追い回す画があった。 俺「智子に火がついちゃってさ」 俺は呆れたように肩をすくめ、お得意のため息を吐いた。 741 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 07 01 50.92 ID izl/qcEN0 エルマ「智子中尉も結構熱くなりやすいタイプですよね」 俺「この隊で一番なんじゃないか?」 キャサリン「ウルスラも負けてないねー!」 ウルスラの方を見る。 ウルスラ「かもしれない」 彼女にしては珍しいセリフが聞けた。 確かに何度失敗しても、爆発しても、 諦めずに兵器開発する姿勢は、熱くなりやすいからこそ、なのかもしれない。 ハルカ「たしかに熱くなりやすいですよねー‥‥」 その顔は赤く、半目でどこか遠くを見つめている。 一瞬なんのことかと思ったが、俺の脳内でもすぐになんのことか分かった。 俺「ああ、たしかにそうだな‥‥」 あの夜のことを思い出して不覚にも赤面する。 キャサリン「毎晩お盛んねー」 これにはキャサリンも苦笑い。 742 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 07 05 37.62 ID izl/qcEN0 エルマ「それに比べてビューリングさんはクールですよね」 ハルカ「そうですねー」 クールというか無口というか。ビューリングはこれでも交流するようになったほうらしい。 今以上って‥‥それこそウルスラレベルなんじゃ。 いや、ウルスラは自分からしゃべらないだけで、誰かと一緒にいることは多い。 ビューリングはそれこそ猫のように気まぐれに一人でどこかへ行ってしまう。 それが今以上‥‥それで部隊として成り立っていたのか甚だ疑問である。 キャサリン「最近はよくリュウセイと一緒にいることが多いねー」 ハルカ「だめですよリュウセイさん」 急に俺の顔を見て頬を膨らませるハルカ。 俺「は? なにが?」 ハルカ「二股ですよ二股」 今日はやけにため息を吐く機会が多い。 エルマ「わ、わたしはそんなんじゃないですよ!」 エルマもエルマで赤面し動揺している。そんなんじゃ否定に見えないんだよエルマ。そんな態度だと、悪魔が目をさますぞ? キャサリン「またまたー」 ほらな。 743 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 07 10 32.94 ID izl/qcEN0 キャサリン「で、ビューリングとはどんな関係ね」 俺「どうって‥‥火付け役だよ。そのまんまの意味のな」 そのまんまタバコに火をつける役。そのためだけに俺はビューリングと一緒にいる。 ハルカ「わたしはてっきり‥‥」 ――はずだったのだが‥‥最近は一緒にいないと寂しいと思ってしまう節もある。 どうなんだ? 俺はアイツが‥‥あんなへんちくりんなやつが‥‥ 俺「ないない」 頭を振りながら自分に言い聞かせるようにつぶやいた。 智子「何がないのよ」 いつの間にか決着がついたらしい二人が戻ってきていた。 俺「なんでもねーよ。さ、帰ろうぜ。もう俺の魔法力も持たない」 実際かなり消費しており、もし午後からネウロイの来襲があるんだとしたらそれなりにまずい。 キャサリン「じゃあさっさとかえってご飯でも食べるねー」 智子「一勝一敗ね」 ビューリング「そうだな」 銀髪の彼女は興味なさそうに答え、基地へと向かった。 745 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 07 15 14.89 ID izl/qcEN0 ……… …… … 着陸後のメンテがない俺はさっさと食堂に来ていた。 魔法力は一気にぶっぱなすよりも常に使い続けている方が辛い事を改めて実感する。 すっかり馴染んだいつもの席に腰掛け、腕を伸ばしテーブルへと倒れこむ。 俺「やっぱり魔法力鍛えないとだめだなー」 鍛えると言って、そう簡単に上がらないのも魔法力ではあるのだが。 ストライカーという補助装置が全くない俺は、他のウィッチよりも消費する魔法力が激しい。 これでも小さい頃から欠かさず訓練はしているので、多少は自信があるのだが‥‥ ため息をひとつ吐くと俺はいつの間にかまぶたを閉じていた。 746 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 07 20 10.64 ID izl/qcEN0 ―――――――― ――――― ――― 薄暗い。 ビューリング「やめろ‥‥やめてくれ‥‥」 俺は空を飛んでいた。目の前にはビューリングがいる。 その表情はいままでに見たことのない恐怖の表情だった。 彼女の手にはいつも常備しているナイフがある。 見ると、俺の右手にもナイフがあった。 ビューリング「来るな! く、来るなぁ!」 俺は無意識のうちに前進しているようだった。 彼女の目の前まで来る。 すると、彼女は持っていたナイフを捨て、両手で耳を抑え丸くなってしまった。 ビューリング「許してくれ‥‥赦し――」 俺はナイフを持つ右手を高く掲げる。 そしてそのまま彼女の後頭部へ―― 747 名前:流星[sage] 投稿日:2010/11/27(土) 07 25 07.42 ID izl/qcEN0 ガタンッ! という音と共に体を跳ねさせていた。 キャサリン「あっはっは! あるある!」 俺「‥‥」 どうやら眠ってしまっていたようだ。 見ると皆戻ってきている。 右手にも感触はない。 ハルカ「あーありますよねー、わたしも授業で居眠りしたときはよくなってましたよ」 エルマ「どうしてああなるんでしょうね」 ウルスラ「浅い眠りから深い眠りに移行するときの筋肉の緩み」 智子「へぇ、詳しいのね」 ウルスラ「勘」 智子「あ、そうなの‥‥」 俺はビューリングの顔を見る。 なんてことはない、いつもの凛々しく美しい顔がそこにはあった。 ビューリング「ん?どうした」 俺「あ、いや、なんでもないんだ」 ‥‥人を殺すなんて、夢だけであってほしいね。少なくとも、俺はそう思った。 749 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/11/27(土) 07 27 37.34 ID tiRq01rm0 乙 例のごとくクヲリティ高ぇわ投下早いわ恐れ入る 流星Ⅱ 2へ続く
https://w.atwiki.jp/vip_witches/pages/369.html
?「ねえ、ねえ……! 目を覚まして……! お願い……!」 ナンダ、サッキカラ…… ?「お願いだから……! こんな、こんなことって……! こんなことってない……!」 ウルサイナ、ネムレヤシナイ…… ?「お願い……!」 ネムル……? ?「……ッ!」 ワタシハイッタイ…… ?「目を、覚まして……ッ!」 メヲサマス……? イッタイ……? ソウダ、ワタシハ…… ?「目を覚まして……ッ!」 メヲ、サマサナケレバ…… ダレノタメニ……ワタシノタメニ? アナタノタメニ? ワタシハメヲサマサナケレバナラナイ ワスレテハナラナイ、ワタシガワタシデアルタメニ アナタノナマエハ、キミノナマエハ ?「目を覚まして……!」 ー ー朝ー???ー チュンチュン 俺「うーん……ん、あれ? ここは……?」 俺「……ん? なんだ、この女の子は」 宮藤「……」クークー 俺.oO(可愛いな……まだ高校生くらいかな) 俺.oO(寝かせておいてあげよう) ヨッコイショット 俺.oO(ん……は、裸!? 服は……?) リーネ「芳佳ちゃーん、だいじょ、う、ぶ……?」 俺「あ」ブラーン リーネ「あ、あ//」カアア 俺「あ、あの、君、これは……いや、そんなことより服はどこ……」 リーネ「いやああああああああああ!////」プシュー 俺.oO(なんて事だ) ペリーヌ「どうしましたの!? リーネさ、ん……あ……それ……//」カアア 俺「いや、待ってくれ! 起きたら服がなくって!たまたまその娘が入ってきちゃって!」 リーネ「わ、私は何も見てません! 何も見てませんから……////」プシュー ペリーヌ「わ、わかりましたから早く服を着て下さいな!」プイ 俺「それが、どこにあるんだかわからないんだ……俺もどうしたらいいか」 ペリーヌ「ああもう! お待ちになって! 少佐に聞いてきますわ! だ、だから」 俺「だから?」 ペリーヌ「それまでその下劣なものを隠していなさい!」タタタ 俺.oO(泣きたい) リーネ「見ちゃった……見ちゃった……////」プシュー ー ー???ー リーネ「……////」プシュー エイラ「サーニャを見るナこの変態ー」ガルル サーニャ「エイラ……あの、すいません」 俺「いえ……」 エイラ「サーニャは悪くないダロ!」 俺.oO(酷い言われようだ) 坂本「わっはっは! 災難だったな、客人!」 俺「いえ……」 坂本「昨日真夜中に浜辺で倒れているのを見付けた時はどうしたものかと思ったが……」 宮藤「でも、何事もなくて本当に良かったです!」 ペリーヌ「十分ありましたわ……大体貴方、何なんですの? 大方何か馬鹿なことでもしてたんじゃありません?」 ペリーヌ「浜辺で一人、裸で倒れてたなんて……どう考えても普通じゃありませんわ」 宮藤「ペリーヌさん、そんな言い方しなくても……」 ペリーヌ「わ、私はただ……っ!」アセアセ エイラ「私も普通じゃないと思うけどナー」ボソ サーニャ「エイラ……なんでそんなこと言うの?」 エイラ「え、う……ゴ、ゴメンナ……サーニャ」オロオロ リーネ「見ちゃった……見ちゃった……////」プシュー ルッキーニ「ご飯おーいしー」ニコニコ 俺「いえ、本当にありがとうございます。自分でもなんでこんなことになったのか……」ポリポリ バルクホルン「大方、酒でも飲み過ぎて酔っ払って海にでも落ちたのだろう!全く人騒がせな」ブチブチ エイラ「運が悪けりゃ今頃海の底ダナ」ヤレヤレ 宮藤「飲み過ぎは身体に毒ですよ。それに、坂本少佐が見付けてなかったら、今頃は……」 俺.oO(考えたくもないな。もっとも全く現実感がないが……まるで夢を見ているような気分だ。それにしても) シャーリー「まあいいじゃないか、そこまでカッカしなくても。これだからカールスラント軍人は……」 バルクホルン「なんだとリベリアン!」 エーリカ「……まーた始まった」ヤレヤレ バルクホルン「……兎に角! ここは軍隊だ! 関係者以外が立ち入るべき場所ではない! 」 バルクホルン「朝食くらいは多目に見てやるが、それを食べたら即刻出て行ってもらうぞ! 大体、貴様はどこの誰なんだ!」 俺「……」 俺「……それが全く思い出せないんです」 バルクホルン「……何だと? それはつまりどういうことだ?」 宮藤「自分の名前がわからないんですか?」 リーネ「見ちゃった……見ちゃった……////」プシュー エーリカ「もしかして、それって記憶喪失ってやつかな?」 サーニャ「そんな……」 エイラ「……」ツーン シャーリー「マジかよ……」 俺「いえ、自分の名前はわかります。……すいません、こんなに世話になってしまったというのに、名乗り遅れました。俺と言います」 坂本「俺、か……名前からするに、どうやら扶桑の出身のようだが……」 宮藤「それ以外には何も覚えてないんですか……?」 俺「はい……私は何者なんでしょうか?」 エイラ「扶桑の出身の割には見た目はそれらしくないナー」 バルクホルン「見た目は欧州の国の人間のようだが……」 シャーリー「まあそういうこともあるんじゃないか?」 坂本「普通に考えれば両親のどちらかが扶桑の人間なのだろうな。 扶桑から来たのか、元々ロマーニャの生まれなのかはわからないが……」 リーネ「見ちゃった……見ちゃった……////」プシュー ペリーヌ「リーネさん、いい加減に正気に戻りなさいな」パチン リーネ「見ちゃっ……ハッ! い、いえ!見てません! 私見てませんから!」ブンブン リーネ「……え? あ、あの……」 シーン リーネ「……//」カアア ペリーヌ「はぁ……で、どうしますの? どうやら行く当てもないようですし」 バルクホルン「普通に考えればしかるべき組織に引き取ってもらうべきだろう」 エーリカ「警察?」 バルクホルン「そうなるな」 坂本「しかし、身元がわかるなら兎も角、わからなければ警察も身元不明人を署に何時までも置いてはくれんだろう」 バルクホルン「そう言われると、そうかもしれないが……」 ペリーヌ「貴方、車の運転は?」 俺「わからない……できるかもしれませんが……」 ペリーヌ「ここから街へは随分と離れていますから、一人で歩いて行ったら夜中になってもたどり着けるかどうかわかりませんわね……」 エーリカ「ねーねー、それよりさー」 俺「はい」 エーリカ「俺、道、わかるの?」 俺「あ……」 ペリーヌ「もしかしたらですけど……ご自分の今いるこの国についても、本当は曖昧なんじゃありませんの?」フウ 俺「……すいません」 ミーナ「困ったわね……」 バルクホルン「うむむ……」 ミーナ.oO(……) ルッキーニ「だったら!」ガバッ シャーリー「ん、どうしたルッキーニ?」 ルッキーニ「ここにいればいいじゃん!」 エイラ「ウエエ……」 サーニャ「エイラ……」 坂本「国や警察に連絡は取るとしても、身元がわかるまではそうするしかないだろうな」 バルクホルン「仕方がない……」 シャーリー「案外あっさりわかるかもしれないしな」ニコ 坂本「その可能性の方が高いだろう」 エイラ「ちょっ! こいつ部外者だゾ! どんな奴かもわかんないのに、何もそこまで面倒見なくたってイイダロー!」アセアセ サーニャ「……」ジー エイラ「う……わ、わかったヨ……」 エイラ「その代わり、サーニャに何かしたらただじゃおかないカンナー!」 サーニャ「エイラ……」 坂本「決まりだな」 ミーナ「決まりね」ニコ 俺「しかし、これ以上お世話になるのはさすがに……」アセアセ ミーナ「気にしないで。私たちウィッチの仕事は市民を守ることなんだから」ニコ ミーナ「それより、自己紹介しなくちゃね。初めまして、私はミーナ・ディートリンデ・ヴィルケ……」 俺「……」 ミーナ「……一応ここの第一責任者をしています。こちらが坂本美緒少佐」 坂本「坂本美緒だ。同郷同士……かどうかはまだわからんが、これも何かの縁だろう。宜しく頼む」 バルクホルン「ゲルトルート・バルクホルンだ。階級は大尉。この女は……」 シャーリー「シャーロット・E・イェーガーだ。……まあ、そう気を落とすなよ。なんとかなるさ、きっとな」 バルクホルン「で、こいつが」 エーリカ「エーリカだよー」 サーニャ「……サーニャ・V・リトヴャクです」 ペリーヌ「ペリーヌ・クロステルマンですわ」 エイラ「エイラ・イルマタル・ユーティライネンだ! き、気安く話しかけるんじゃナイゾー!」 ルッキーニ「あたしはルッキーニだよ! ねえ、俺は虫好き? 虫好き?」ズズイ シャーリー「こらこら、後にしろよ。で、こいつが」 リーネ「リネット・ビショップです。あ、あの、朝は本当に失礼なことして……//」カアア 俺「いえ、俺が悪かったんです。あの時は気が動転してて、服も着てないのに気付かないなんて」 俺「ですから、こちらこそ申し訳ありませんでした。どうか気にしないで」 リーネ「……//」カアア 坂本「わっはっは! これで一件落着だな! さあ、宮藤、最後はお前だ」 宮藤「は、はい!」 宮藤「あの! 宮藤芳佳です。なんだか大変なことになっちゃいましたけど、俺さんの記憶が戻れるよう、私、頑張りますから!」 俺「……ありがとう」 ミーナ「これで全員お終いね」 坂本「さあ! 宮藤! リーネ! ペリーヌ! 早く朝食を食べて訓練に行くぞ!」 宮藤「は、はい!」 ペリーヌ「私はもう食べてしまいましたわ……」 リーネ.oO(どうしよう、何も食べてないのになんだかお腹いっぱい……) ー ー501隊基地 外ー 俺「さて、これからどうすれば……」 ミーナ「俺さん、良かったら基地内を案内しましょうか?」 俺「……いえ、俺なんかが基地のことを知ったって、使用がありません」 俺「それより、向こうで頑張っているあの娘たちに何か作ってあげたい」 宮藤「はぁ、はぁ」 リーネ「よ、芳佳ちゃん、待ってー」 ペリーヌ「な、情けないですわよ、お二人とも。ほら、俺さんも呆れて見てますわ」 宮藤「あ、本当だ! 俺さーん!」ブンブン 俺「やあ」ニッコリ リーネ「え、俺さんが……//」カアア 俺.oO(なんだか何時も顔を紅くしてるな、あの娘) 俺「みんな、凄いなあ! 応援してるからね!」 リーネ「は、はい! わ、私……私、頑張ります!」 宮藤「わ、リーネちゃん凄い顔真っ赤だよ、大丈夫?」 リーネ「え! う、うん…大丈夫……」 ペリーヌ「……やれやれですわ」 坂本「馬鹿者ー! お前たち! 余所見してる暇があるなら走らんかー!」プンプン 宮藤「は、はい!」 リーネ「ごめんなさいー!」 ペリーヌ「ほら、行きますわよ!」 ミーナ「……」フフッ 俺「若いっていいなあ」 ミーナ「あら、貴方だって十分若いじゃない」 俺「あっはは、そう見えますか? そう言われてみると、私は一体、何歳くらいなんでしょうね?」 ミーナ「ふふ、そうね……もしかしたらだけど、私と同じくらいじゃないかしら。何となくそんな気がする」 俺「ミーナさんと同じだなんて光栄です」ニコ 俺「……」 俺「……ミーナさんは、その……何故ウィッチに?」 ミーナ「あら、突然どうしたの? そんなに似合わないかしら」フフッ 俺「い、いえ……! そんな……!」 俺「何故、でしょうね。何故だか、少し気になってしまって……失礼でしたね、すいません」アセアセ ミーナ「いいのよ、気にしないで」フフッ ミーナ「そうね……」 ミーナ「……」 ミーナ「誰かがやらなきゃいけないから……それだけ、かな」ニッコリ 俺.oO(……) 俺.oO(ミーナさん……) ミーナ「それで、あの娘たちに何を作ってあげるの?」 俺「もし宜しければですが、調理場へ案内してはいただけませんか?」 ミーナ「あら、料理ができるの? 」 俺「何となくですが、できる気がします」 ミーナ「でも、ここには今はお芋と果物くらいしかないけど、それでもいい?」 俺「お芋ですか……そういえば朝もそうでしたね、美味しかったなあ」 ミーナ「ふふ、お芋は好き?」 俺「上手く言えませんが、凄く馴染み深いような……もしかしたら私は農家の生まれなのかもしれませんね」 ミーナ「……そうね。そうなのかも」フフッ 俺「案内をお願いできますか?」 ミーナ「勿論よ、ついて来て」ニコ ー ー昼ー食堂ー エイラ「で、できたのがこれカ……」 サーニャ「……」 宮藤「俺さん凄いです! どれも凄く美味しそう……これは何て料理なんですか?」 バルクホルン「これは……カールスラントの田舎料理じゃないか。よくほとんど芋だけでこれだけ作れたな」 エーリカ「おいしーよー」モグモグ ルッキーニ「おいしーい! 私これ大好きー!」パアア シャーリー「あ、こら! ズルいぞルッキーニ! どれ…もぐもぐ、ん、美味いな! やるなー!俺ー!」 俺「いえ、そう言っていただければ嬉しいです。少しでもお役に立ちたかったので……」 ミーナ「そんなこと気にしなくたっていいのよ。でも、本当に美味しいわね、これ。手際も凄い良くって横で見てて驚いちゃった」パクパク リーネ「それはいいんですけど……」 ペリーヌ「問題は……」チラリ 坂本「ミーナ、これ、お前が作ったのか……?」 ミーナ「ええ、俺さんにだけ作らせちゃ悪いと思って、張り切っちゃった」ニコ 全員「「「「「「「「ごくり」」」」」」」」 エイラ(なあ、あれって食べ物なノカ?)ヒソヒソ ペリーヌ(そんなこと私に言われてもわかりませんわ)ヒソヒソ サーニャ.oO(お芋勿体ない……) エーリカ「……うぇぇ」 バルクホルン(そんな顔をするな、ハルトマン。お前の方が酷いだろうが)ヒソヒソ エーリカ(私は自覚してるもん)ヒソヒソ バルクホルン(お前はやたらと作りたがるからタチが悪いんだ。全く、普段はグータラな癖に……その度に病人が何人出たと思ってる)ヒソヒソ エーリカ(うう……言わないでよ、これでも反省してるんだからさー)ヒソヒソ バルクホルン(お前の料理を美味そうに食うのなんてミーナくらいのものだ)ヒソヒソ バルクホルン.oO(ああ、だからか……) シーン エイラ.oO(なんだか変な空気ダナー) 坂本.oO(ミーナ……) 坂本「よ、よし! 私が一つ頂こう!」ヒョイパク 全員「あ」 ペリーヌ.oO(少佐……) 坂本「う……」 坂本「う、まい……ぞ……」ニコニコ シャーリー.oO(顔真っ青だよ) バルクホルン.oO(食べないで良かった……) ミーナ「あら大丈夫、美緒。具合悪いの?」アセアセ 坂本「だい、じょうぶ、だ……どれ、もう一つ……!」ゼエゼエ ペリーヌ(少佐!いけません!)ヒソヒソ 坂本(止めるなペリーヌ! 私はこんなことでは負けん!)ヒソヒソ ルッキーニ「うえー、何これ、まっじゅい……」ボソ シャーリー.oO(おおおおおおおおおい!! ルッキーニーーー!!) ミーナ「……え?」 俺「うん、ミーナさんの料理、とても美味しいですね。さすがです」パクパク 全員「「「「「「「「えーーーーーーーーー!!」」」」」」」」ガバ ミーナ「あら、そう? 久しぶりに腕を振るって良かった」ホッ! 俺「?? どうしたんですか? 皆さん?」パクパク 坂本「い、いや……」アゼン エーリカ「なんともないの? 俺?」オソルオソル 俺「はい? いえ、なんのことかさっぱりですが……」パクパク シャーリー.oO(すげえ、平然な顔して食ってる!) ルッキーニ.oO(そんなに美味しかったかなあ) ヒョイパク ルッキーニ.oO(……うぇぇ) 宮藤.oO(俺さんかっこいい!) キラキラ リーネ.oO(俺さん……//) ポッ ペリーヌ.oO(ある意味凄い人ですわ……) エイラ.oO(こいつ本当に大丈夫ナノカ) サーニャ.oO(お芋……) 坂本.oO(私の行動は一体……ハッ! いかんいかん!) バルクホルン.oO(変わった男だ……) エーリカ.oO(それにしても) チラ ミーナ「うん、我ながら大成功! ほら、みんなも早く食べないと俺さんの作ってくれた料理が冷めちゃうわよ」ニコ エーリカ(……これはこれで普通なのかなー)ボソボソ バルクホルン(いや、普通ではないだろう)ボソボソ 俺「美味しいですねー」ニコニコ ミーナ「ええ、本当に美味しいわ」ニコ ルッキーニ.oO(やっぱりこっちの方が美味しい……? うにゅー?) モヤモヤ ー ー夜ー俺の部屋(旧空き部屋)ー 俺「もう夜か……今日は大変だったな……」 俺「これから、何をどうしていけばいいのだろう」 俺「……」 ランーランーランー 俺「おや、この歌は……」 俺「……」 俺「いい歌だな……」 ランーランーランー ー ー翌日ー ー朝ー501隊基地 俺の部屋ー 俺「料理を教えてほしい?」 リーネ「は、はい! 私あまり得意じゃなくて……本当はいつも芳佳ちゃんの足を引っ張ちゃってて、それで……」アセアセ 俺「宮藤さんはきっとそんなことは気にしていませんよ」 リーネ「そ、そうかもしれません…… 芳佳ちゃん、優しいから。そ、そうじゃなくて! あ、あの……」 俺「……」 俺「構いませんよ」ニコ リーネ「あ……//」カアア 俺「そんなことで恩返しができるのなら、お安いものです」ニコ ー ー調理場ー 俺「これを、こうして……」 リーネ「こうですか? ……あ」 俺「どうしました?」 リーネ「な、なんでもありません!」 リーネ.oO(手、触れちゃった//) カアア 俺「???」 ペリーヌ「リーネさんってあんな優男がタイプでしたのね」コッソリ 宮藤「リーネちゃん頑張れっ!」コッソリ ミーナ「あらあら」ウフフ ミーナ「……」 エーリカ.oO(私も教えてもらおっかな) バルクホルン「何をやってるんだお前ら……」ヤレヤレ シャーリー.oO(これはひょっとするとひょっとするかもな) ニシシ ルッキーニ「何笑ってんのシャーリー??」 エイラ.oO(こいつらはダメダナー) サーニャ.oO(……眠い) ー ー昼ーロマーニャ首都 ローマー 俺「はぁ……」 俺.oO(あれからミーナさんたちに連れられて、警察署でそれらしい行方不明者の届け出がきていないか調べてはもらえたが……該当はなしか) 俺.oO(他にも隊の皆さんが作ってくれたビラも置いてもらえたし、一応警察の方でも捜査はしてくれることになったが……) 俺.oO(なんだろう、何かが違う気がする。多分俺はこの街に初めてきた、いや、この国にも初めて来たのかもしれない。わからないがそんな確信がある) 俺.oO(こんなにもお世話になってしまっているのに手がかり一つ思い出せない自分が情けない) 俺.oO(俺は一体どこからきた誰なんだ……?) リーネ「俺さん……」 ミーナ「そう気落ちしないで。きっと大丈夫よ、ね?」 俺「……ありがとうございます。しかしこんなにもお世話になってしまっているのに、自分では何一つとして思い出せないなんて」 ミーナ「まぁまぁ、それよりも今はとりあえずもう一つの目的を済まさなければね」 リーネ「芳佳ちゃんたち、どこに行ったんだろう……」 俺.oO(そうだ、本来の目的は軍の買出しだったんだった) シャーリー「おーい! 中佐ー!」 宮藤「リーネちゃーん! 俺さーん!」 リーネ「芳佳ちゃん!」 俺「やあ、美味しそうなケーキですね」 ミーナ.oO(あの娘たちったら……) ミーナ「貴方たちね……本来の目的は……」 宮藤「ほら! リーネちゃんにもあげる! とっても美味しいよ」 リーネ「ええー、でも、でも……」チラ シャーリー「まぁまぁ、いいじゃないか、な? 中佐?」 ミーナ.oO(……) フウ ミーナ「全く、仕方ないわね……私にも一口ちょうだい?」フフッ リーネ「うわあ……本当に美味しい。美味しいね芳佳ちゃん!」パアア ミーナ「本当……とっても美味しい!」 シャーリー「だろー? ほら、俺も来いよ!」 俺「……」ニコ ミーナ「……ところで、さっきからずっと気になってたんだけど、ルッキーニさんはどこ? 姿が見えないけど……」 宮藤「あ……」 シャーリー「あー、それはだな……」 ウォーーーーーーーーーン……! 俺.oO(サイレン……?) ミーナ「待って!」 シャーリー「これは……」 宮藤「ネウロイ!?」 俺「ネウロイ……!?」 俺『ネウロイ?』 坂本『ああ、突如として我々人類の前に現われた、人や大地を汚染する瘴気を撒き散らし、今も人類を襲撃し続ける倒すべき侵略者……それがネウロイだ』 坂本『そんなネウロイたちと戦うのが我々ウィッチだ。ウィッチはネウロイの放出する瘴気から魔法で身を守ることができる唯一の存在。ネウロイと戦うことのできる人類の希望だ』 俺『魔法、ですか……』 坂本『うむ、我々ウィッチは魔法の力によって、多くの重い武器を持ち、本来破ることのできないネウロイの装甲にダメージを与えたり、ネウロイの放つ攻撃からシールドを張って身を守ることができる』 坂本『本来なら飛行やシールド、身体能力の強化は訓練された一部のウィッチにしか使えない。それを容易に可能にするのが、我々ウィッチの魔力を増幅させる魔導エンジン、それによって駆動されるストライカーユニットと呼ばれる機械装置だ』 坂本『我々501隊ストライクウィッチーズは飛空脚と呼ばれるストライカーを脚に装着し、空を舞って襲い掛かるネウロイたちと戦っている』 坂本『それだけではない。各自ウィッチだけが持つ特別な魔法もある。……そうだな、実際に見せた方が理解がし易いだろう』 坂本『……』ピラ 俺『眼帯を……目が……光り輝いて……!』 坂本『ああ、これが私の固有魔法である魔眼だ。本来は外からは見ることのできないネウロイのコア……心臓のようなものだな、それを装甲の上から発見したり、常人には見えないような遥か遠くにあるものを見渡すことができる』キィーン 坂本『もっとも、人間のお前を見たところで身体の中の臓器を覗いたりはできんがな。視力以外については、あくまでもネウロイに限っての能力だ』キィーン 坂本『他にも宮藤がお前を助けたように治癒魔法を使えるものや、我々の隊のエースであるハルトマンやバルクホルンのように大気を操る魔法や、身体能力を増化させる魔法を使えるものもいる』キィーン 坂本『ウィッチの多くは女で、魔法力は10代をピークに年齢と共に失われていく。……宮藤の一族のような例外も稀にいるがな』 坂本『私たちウィッチはこれらの能力を使ってネウロイと日夜戦っているのだ』 俺『……』 坂本『ネウロイという名の忌むべき侵略者共とな……』 俺「これが……ネウロイ……」 シャーリー「おいおい、 凄いタイミングだな……」 ミーナ「俺さんは今すぐ安全な場所に避難して! ストライクウィッチーズ……出撃します!」 ー ルッキーニ「待ってて! ロマーニャの街はあたしが守る!」 ー ブーーーーーーーーーン ドパパパパパパパパパッ! 俺「凄い……これがウィッチーズの力……」 俺.oO(ネウロイを圧倒している!) 俺.oO(クソ! こんなところでじっと見ているしかできないなんて……) 俺.oO(……) 俺.oO(それにしても、不思議なものだな……) 俺.oO(本来は敵対していても不思議ではなかったはずの世界各国のウィッチたち……それがネウロイという共通の敵が出現したことにより、こうして手を取り合って戦っている……) 俺.oO(人間とネウロイ、か……) ー ー夜ー501隊基地 俺の部屋ー 俺.oO(あれから色々とあったが無事に帰ってくることができた) 俺.oO(もう夜か……) コンコン 俺.oO(……?) 俺.oO(誰だろう) カチャ ミーナ「……」 俺「ミーナさん?」 ミーナ「少し、いいかしら?」 俺「……はい」 ミーナ「ありがとう」ニコ 俺.oO(どうしたんだろう) ミーナ「今日はごめんなさい、戦いに貴方を巻き込んでしまって」 俺「いえ、そんな……それより皆さん、やっぱりウィッチなんですね」 俺「さっきまで色々な話をしていた女の子たちが、目の前でネウロイと戦っているのに、……男の俺がただ見ていることしかできないなんて……情けないです」 ミーナ「……そんなことないわ。それに、俺さんは私たちみたいな軍人じゃない」 ミーナ「何も気に病むことなんてないのよ」 俺「ミーナさん……」 ミーナ「ここにいる間だけでいい、あの娘たちと、仲良くしてあげてね」ニコ カチャ……パタン 俺.oO(行ってしまった) 俺.oO(仲良く、か……) 俺.oO(……) 俺「……」 俺.oO(今日は歌は聴こえないな……) 俺「……」 ー 海岸に倒れていた俺 2へ続く
https://w.atwiki.jp/vip_witches/pages/460.html
俺「ストライクウィッチーズなの!」 982-999 俺「ストライクウィッチーズやな」 8-19,686-708 前へ 目次へ戻る 次へ Episode8 『戦車と剛毅』 ---ブリーフィングルーム--- ミーナ「みんな、今回も良く戦ってくれたわ。」 ゲルト「しかし、また2体同時とはな・・・」 ミーナ「そうね・・・これからは2体以上の戦闘も覚悟したほうがいいかもしれないわね・・・」 ミーナ「でも2体を一気に片付けられたのは大きいわ。これで残るのは・・・」 エイラ「『戦車』、『剛毅』、『隠者』、『運命』、『正義』、『刑死者』・・・まだまだ沢山ダナ。」 芳佳「ぅえぇ・・・まだいるんですか・・・」 エーリカ「気が遠くなりそう・・・」 ミーナ「ええ、そうね・・・それでもやるしかないわ。みんな、頑張りましょう!」 一部除いた全員『りょーかーい・・・』 ゲルト「なんだそのたるんだ返事は・・・もう一度だ!」 全員『了解っ!』 ---俺の部屋--- 俺「さて・・・今日も・・・」 机に目をやるとまたカードがあった。 俺「これは確か・・・法王と恋愛・・・」 カードは今日倒したネウロイのアルカナが描かれていた。 俺「なるほど・・・その日に倒したネウロイのアルカナが関係してたってか・・・」 手に取るとまたカードは光だし、一つのカードとなって手元に降りる。 カードには悪魔のような絵が描かれアルカナ名の欄には【DEVIL】と書かれていた。 俺「悪魔・・・」 いつものようにカードは砂のように消え、頭に声が響く ―――オレの名はベルゼブブ―――蠅の王だ――― ――お前にオレの力を貸してやろう――お前が拳を振るうとき――――― ――――お前の拳にに風の力を乗せてやろう――――ありがたく受け取れ!―――― ベルゼブブからは疾風の力を与えられた。 これにより、拳に風を纏わせ、直線状に伸びる竜巻を発生させることが可能になった。 竜巻は、小型のネウロイならば巻き込んで破壊することが可能であり、大型でも相当なダメージを期待できそうだ。 俺「よろしく・・・蠅の王様さん・・・」 俺「でも俺、拳は使わないんだよなあ・・・」 その頃、窓の外に不審な影が2つ、現われていた。 ---基地の外--- 謎の女「・・・想像よりも早い解決でしたね。」 謎の男「ホンマや。それにやっこさんら、毎月こういった活躍をしてるそうですわ。」 謎の女「どうでしょう、彼らは敵に見えますか?」 謎の男「まだ測りかねますわ・・・あんさんが直接あってみるとええんちゃいますか?」 謎の女「それもそうですね・・・近いうち接触を図るとしましょう。」 謎の男「それになんや、えらいおもろそうな奴がおるやないですか。」 謎の男「男のウィッチなんちゅーモンはオレだけかと思っとりましたで。」 謎の女「フフフ・・・興味を抱くのはよろしいですが、あまり長い時間ここにいては見つかってしまいます。」 謎の女「そろそろ退きますよ、『アダム』・・・」 アダムと呼ばれた男「へいへい、あんさんはいつも慎重なお方や・・・『イヴ』はん・・・」 イヴと呼ばれた女「フッ・・・」 アダムと呼ばれた男「フッ・・・って・・・ホンマクールやなあんさんは・・・」 そう言って去ってゆく2人の足には、ネウロイの模様が入ったストライカーが装備されていた・・・ 数日後・・・ ---ブリーフィングルーム--- 俺「な・・・夏祭りっスか!?」 坂本「ああ。ガランド少将に無理言って、この基地で開いてもらえるよう頼んだんだ。たまには、息抜きも必要だと思ってな。」 芳佳「やったー!」 リーネ「夏祭り?」 芳佳「うん!扶桑ではね、7月や8月くらいになるとお祭りを開くんだよ!」 坂本「扶桑から屋台も来てもらうことになっているからな。雰囲気に関しては、私が保証するぞ。」 芳佳「屋台もですか!?すごいです・・・あ、でもせっかくなら浴衣があっても・・・」 ペリーヌ「ゆかた?」 芳佳「浴衣って言うのは、扶桑でお祭りのときに着る和服のことですよ。」 坂本「はっはっは!大丈夫だ、それなら・・・」 坂本が足元の箱から何かを取り出す。 坂本「ここにあるぞ!」 そこには11人分の浴衣が用意されていた。 芳佳「うわー!浴衣だー!でも、これどうしたんですか?」 坂本「こんなこともあろうかと、浴衣をあらかじめ届けてもらうよう頼んでいたんだ。」 俺(少佐・・・グッジョブっス!)グッ 俺は一人、心の中で小躍りしていた。 芳佳「これ、着てもいいんですか?」 坂本「ああ、早速着てみるといい。わたしも久々に袖を通してみるか。」 坂本「俺は・・・すまないな。お前の分の服は用意できなかった。」 俺「あ、いえ、俺は自前の甚平あるんで大丈夫っス。(寝巻きだけど。)」 坂本「そうか、ならよかった。よし!それじゃあお前達に着方を教えてやろう!」 坂本はほかの皆を別の部屋へ連れてゆく。 坂本「フフ・・・お前はそこで楽しみに待っていろよ。」バタン 俺「あはは・・・」 数十分後 ガチャ・・・ 着替え終わった11人が部屋へ戻ってきた。 シャーリー「あー、なんかちょっときついな、これ」 エーリカ「スースーする・・・」 俺(こ・・・これは・・・!!) 色とりどりの浴衣を着た彼女達。普段とは違う雰囲気の彼女たちに俺は思わず目を奪われた。 エイラ「オイ、俺。」 俺「なんスかエイラさ・・・のわっ!」 目の前のエイラとサーニャももちろん浴衣を着ていた。 エイラは水色のアジサイ柄の浴衣。髪はまとめられ、いわゆるポニーテールに。 サーニャは黒地に白百合柄の浴衣。髪には花の髪飾りが付けられていた。 エイラ「なんダ、へんな声出して・・・」 俺「いや・・・その・・・///」 エイラ「それよりどうだ・・・今日は一段と可愛いダロ、サーニャ。」ヒソヒソ 俺「はいっス・・・浴衣がこんなに似合うとは・・・」ヒソヒソ サーニャ「?」 坂本「どうだ、俺?みんな良く似合っているだろう。」 そういう坂本はまさに扶桑撫子というにふさわしい美しさだった。 俺「は・・・はいっス!俺には眩しすぎるくらいですっ!」 坂本「はっはっは!そうか、それはよかった!」 坂本「よし!祭りは明日だ!みんな存分に楽しもうじゃないか!!」 翌日 ---基地内 夏祭り会場--- 祭囃子の音が聞こえる中、会場は多くの人で盛り上がっていた。 今日に限り、この基地は一般の為にも開放されている。 芳佳「うわぁ!ここだけ扶桑みたい!」 シャーリー「へぇ、これが扶桑の夏祭りねぇ・・・」 ペリーヌ「あちこちなんだか騒がしいですわね・・・」 坂本「それが祭りというものだ!はっはっは!!」 ミーナ「それではしばらく自由行動としますので、みんな、存分に楽しんできてね!」 芳佳「行こう!リーネちゃん!」 シャーリー「お!だったらあたし達も連れてってくれよ。祭りのこと良く分からないしな!」 ルッキーニ「しな!」 ゲルト「む・・・なら私も連れて行ってもらおう!」 エーリカ「トゥルーデが行くならわたしもー」 芳佳「はい!一緒に行きましょう!」 ペリーヌ「少佐!・・・あ、あの・・・」 坂本「ん?どうした、ペリーヌ?」 ペリーヌ「あの・・・よろしかったら、わたくしも・・・少佐と一緒に・・・」 坂本「なんだ、そんなことか。私は一向に構わないぞ!」 坂本「ミーナも一緒にどうだ?」 ミーナ「あら、いいの?それじゃあご一緒させてもらおうかしら。」 宮藤組も坂本組も足早に行ってしまった。 俺「さてと・・・俺は・・・」 そこへ誰かに声をかけられる。 サーニャ「俺さん。」 俺「あれ?サーニャさん。エイラさんも。みんなと一緒にいかないんスか?」 エイラ「サーニャはお前に案内してもらいたいんだってサ。(ワタシは不本意だけどナ。)」ムスッ 俺「え?俺っスか?」 サーニャはコクリとうなずいた。 俺「あはは・・・わかりました。案内するっスよ!」ニッ 俺、サーニャ、エイラの3人でしばらく屋台を練り歩くことにした。 俺「お、アレは・・・」 俺の視線にはりんご飴の屋台があった。 俺「お2人ともちょっと待っててくださいっス!」 サーニャ&エイラ「?」 駆け足で俺が屋台へと向かう。どうやらりんご飴を買うようだ。 エイラ「サーニャ。あの扶桑語読めるカ?」 サーニャ「私にはちょっと・・・」 残念ながら、2人には扶桑語で書かれた屋台の字は読むことができなかった。 しばらくすると俺が戻ってくる。 俺「おまたせしたっス。」スッ そう言い、りんご飴を2人に差し出す。 俺「それはりんご飴っていって、扶桑の祭りのときでは定番なんです。どうぞ食べてくださいっス!」 エイラ「じゃあ遠慮なく。」パク サーニャ「あ、ありがとうございます・・・いただきます。」パク 2人が口にすると、ほのかに甘酸っぱい味が口の中に広がる。 エイラ「これはなかなか・・・」 サーニャ「おいしい・・・」 俺「お口にあってよかったっス。・・・んじゃあ次は・・・あそこ、行きましょう!」 そういって指差した先には射的の屋台があった。 俺「おっちゃん、この2人に1回ずつ!」 おっちゃん「あいよ!んじゃ、これもってね。」 エイラ「これをどうするんダ?」 俺「この鉄砲を使って、欲しい景品を落とせばそれがもらえるっス。」 エイラ「なんだ、簡単ダナ。」 姿勢を少し前傾にし、エイラが鉄砲を構える。 おっちゃん「譲ちゃん、ずいぶん様になってるねィ。」 エイラは照準を定める。狙いは・・・ エイラ(ネコペンギンのぬいぐるみ・・・!) パンッ! 発砲。しかし・・・ エイラ「あれ?」 おっちゃん「はい、ざんね~ん。またきてくれよ。」 コルクは確かに命中。だが、ぬいぐるみを落とすにはいたらなかった。 エイラ「くそ~、おっちゃん!もう一回ダ!」 おっちゃん「はい、まいどあり~」 もう一度発砲。しかしそれも当たるが落ちない。 エイラ「なんでダ・・・」 俺(なるほどね・・・) 俺「じゃあサーニャさん、やってみましょうか。」 サーニャ「は・・・はい。」 そう言って今度はサーニャが構える。 俺「サーニャさん、ちょっと失礼するっス。」 そして俺がサーニャに体を寄せる。 エイラ「おまっ・・・」 俺「コルクを緩めて・・・っと、じゃあ少し照準を上に向けますよ。」 サーニャ「・・・・・///」 俺「OK。ここで大丈夫っス。サーニャさん?」 サーニャ「へ?は・・・はい!///」 俺「えと・・・これで撃ってみてくださいっス。」 サーニャ「わ、わかりました・・・///・・・えい!」パンッ! サーニャが撃ったコルクは命中し、見事にネコペンギンのぬいぐるみを落とした。 おっちゃん「おめでと~!はい、じゃあこれ景品ね。」 エイラ「なん・・・ダト・・・?」 俺「うっし!やったスね、サーニャさん。」ニッ サーニャ「は・・・はい・・・///」 エイラ「ぐぬぬ・・・・・」 俺「じゃあ、次ぎ行きましょうか。」 次に目指したのは夏祭りの定番である・・・ 俺「ここっス!」 エイラ「なんダ、ここ?」 サーニャ「お魚がいっぱい・・・」 俺「これは『金魚すくい』って言って、文字通り金魚をすくう遊びっス。」 俺「まぁやればわかるっスね。おっちゃん、3人、1回ずつね。」 おっちゃん「はい。じゃあがんばってね。」 サーニャ「?・・・これは?」 俺「それは『ポイ』っていって、そこの金魚を捕まえるのに使うものっス。」 俺「例えばこんな感じに・・・よっ!」ヒョイ すくい上げたポイの中に1匹の金魚が入る。 俺「それですかさずこっちへ・・・」 すかさずすくい上げた金魚を受け皿へ入れる。 俺「こんな感じにポイが破れるまで何回も金魚をすくっていくっス。」 エイラ「フーン・・・よし、今度こそ・・・」 エイラ「えい!」ヒョイ エイラのポイには2匹の金魚が一気に入った。 エイラ(いまダ!) そしてすかさず受け皿へと入れる。 おっちゃん「やるねぇ、譲ちゃん。」 エイラ「フッフッフー、どうだ俺。」 俺「え?なんスか?」 そういう俺の受け皿にはすでに10匹以上の金魚が入っていた。 エイラ「ぬぐぐぐぐ・・・負けないんだかんナ!」 しばらくエイラと俺の2人は金魚すくいに夢中になってしまった。 サーニャは残念ながら1度目でポイが破けてしまったようだ。 数分後 俺「ゼェ・・・ゼェ・・・」 エイラ「ハァ・・・ハァ・・・」 おっちゃん「お客さん・・・そろそろ・・・止めてもらえないかねぇ・・・?」 水槽の中はすでに8割以上の金魚が消えていた。 そして受け皿の金魚は水を求めて跳ね回っている。 サーニャ「2人とも・・・もうダメ。」 エイラ「あ・・・ああ・・・あれ、こんなにとったっけ?」 俺「つい夢中になっちゃったっス・・・ははは・・・」 そのあと金魚は水槽へと戻された。 俺「どうっスか?なかなか楽しいもんでしょ。」 エイラ「ああ、思ったよりアツイな夏祭りってのは。」ニッ サーニャ「はい。とっても楽しいです。」ニコッ 俺(浴衣だから尚更・・・///) エイラ「どうしタ?」 サーニャ「俺さん?」 俺「ああ、いや、俺今幸せだなーって・・・あはははは・・・」 エイラ「そりゃ幸せだろうナ。なんせ女の子2人を連れてデートしてるようなもんだからナ。」 サーニャ「デート・・・///」 俺「あはは・・・あ。」 エイラ「?」 ヒュ~…ドン! パラパラ 見上げれば、上空に鮮やかな花火が打ちあがり、夜空に大輪を咲かせる。 サーニャ「綺麗・・・」 エイラ「ああ・・・キレイダナ・・・」 次々と打ちあがっては消えてゆく。そんな光景にしばし3人は目を奪われた。 芳佳「あ!サーニャちゃんにエイラさん!それに、俺さんも!」 ミーナ「あら、みんな来てたのね。」 次々と仲間たちが集まる。どうやらここは花火の眺めが一番良い絶好のスポットだったようだ。 その後、花火を一通り眺めた後、合流した皆と共に会場を巡り、祭りを心ゆくまで楽しんだ。 ---基地内ラウンジ--- 坂本「どうだみんな、今日は楽しめたか?」 シャーリー「そりゃもう。バルクホルンなんか特に・・・」プクク ゲルト「おいリベリアン!その事は言わないと・・・」 ミーナ「あら、何があったのかしらね?」 シャーリー「ククク・・・思い出すだけで・・・だーはっはっはっは!」 芳佳「あはは・・・」 皆、思い思いに楽しい時間をすごせたようだ。 坂本「とにかく楽しんでもらえたようでよかった。私も準備をした甲斐があったというものだ。」 坂本「その浴衣はお前達にプレゼントしようと思う。大事にしてくれ。」 ルッキーニ「やたー!」 リーネ「ありがとうございます!」 どうやら夏祭りの文化はみんなに受け入れられたようだ。 ---俺の自室--- コンコン ドアをノックする音が聞こえる。 俺「?はーい。」ガチャ そこに立っていたのはエイラだった。 俺「あれ?エイラさん?」 エイラ「こんな時間に悪いナ。ちょっと話しがあるんダ。」 俺「話?」 エイラ「ああ、実はな・・・」 話というのは来月に宮藤とサーニャそして坂本の誕生日をするというものだった。 宮藤とサーニャは2人とも8月18日と誕生日が一緒なのだ。 そして坂本は8月26日に誕生日を迎えるため前祝として一緒にやってしまうそうだ。 エイラ「・・・というわけダ。」 俺「なるほど・・・で俺は何をすれば?」 エイラ「お前はお菓子が作れるから、ケーキを作ってもらおうと思うんダ。」 俺「ケーキっスか?お安いご用っス。」 エイラ「とびっきりうまいのを頼むゾ。サーニャを喜ばせるためにナ。」 俺「宮藤さんと少佐もですよね?」 エイラ「ああ、その2人にもちゃんと喜んでもらえるようなのを頼ム。」 エイラ「後、このことは3人には内緒ナ。絶対だゾ!」 俺「了解っス。」 エイラ「じゃあ、確かに伝えたからナ!」 そう言ってエイラは足早に去っていった。 数週間後・・・ 8月へと入りまた満月の日がやって来ようとしていた。 ---俺の自室--- 深夜0 00 俺「そろそろかな・・・」 そうつぶやいた直後突然人影が現われた。 アニマ「こんばんは。あれ?今日は起きてるんだね。」 俺「そろそろ来るころかと思ってな。今回は先手をうってみた。」 アニマ「そっか。なんだかうれしいな。」 俺「それで、今回は何体くらい現われるんだ?」 アニマ「今回はね・・・1体であり、2体でもある・・・かな。」 俺「どういう意味だ?」 アニマ「実際に見たほうが早いよ。とりあえずは2体以上は警戒したほうがいいってこと。」 俺「・・・わかったよ。」 アニマ「物分りが良くて助かるよ。そういえば、僕のこと誰にも言ってない?」 俺「そういえば言ってないな。なんでだろ?」 アニマ「出来ればこのまま黙ってて欲しいな。別に喋られて困るわけじゃないけど。」 俺「そうなのか?まぁ喋るなっていうなら黙るけど。」 アニマ「そうしてもらえるかな。そもそもこんなことが起きてるのを他の人に話しても信じてもらえるかだけどね。」 俺「確かに。夜中に突然男の子が現われたなんて話はそう信じてもらえないだろうし。」 アニマ「うん。今日も話せてうれしかったよ。じゃあまた来月。」スー… 俺「ああ。またな。」 アニマはそのまま消えていった・・・ 3日後 満月の日。 今朝のブリーフィングでは前回あったように、これからは2体以上のネウロイに警戒するよう注意が呼びかけられた。 今回現われると思われるアルカナネウロイは『チャリオット』と『ストレングス』。 ウィッチーズはアルカナネウロイ討伐のためバルト海へと繰り出した。 ---バルト海上空--- 今日も夜の海は静寂に包まれている。 聞こえるのは波の音と、ストライカーの駆動音だけだ。 ミーナ「そろそろ来るころかしら・・・」 ペリーヌ「しかし、いやに冷えますわね・・・」 カールスラントでは8月に入ってから急激に温度が下がっていた。 そのため今までよりも風が冷たく感じられた。 俺&サーニャ「!!」 魔導針の色が変わる。アルカナネウロイが現われた。 俺「敵『チャリオット』出現。・・・ん?」 現われたのはさながら空飛ぶ戦車といった感じの姿。体躯も大きい。しかし・・・ サーニャ「反応が・・・2つあります・・・」 ミーナ「どういうこと?」 俺「ネウロイは一体なんスけど、反応が2体分ってことっス・・・どういうことだ・・・?」 ミーナ「とにかく、今は倒すことを考えましょう!みんな、準備して!」 全員「了解!」 今回は前回の事例もありロッテの組み合わせが変更されていた。 エーリカ「いくよ~ペリーヌ。シュトゥルム!」シュオオオオオ ペリーヌ「了解ですわ!トネール!」バリバリバリ シュトゥルムで纏った風に電撃が上乗せされる。 あたれば大ダメージのはずだが・・・ エーリカ「あー、ダメか~・・・」 そのままネウロイを通り抜けてしまう。 リーネ「ルッキーニちゃん!」ダンッ! ルッキーニ「まーかせろー!」ビュン! そう言ってルッキーニが多重シールドを展開し突撃する。 その後ろからリーネが対装甲ライフルを放つ。が・・・ ルッキーニ「え~あたんな~い。」 リーネ「ダメ・・・」 どちらの攻撃も通り抜ける。 ゲルト「いくぞリベリアン!」 シャーリー「いわれなくても!」 今度はシャーリーとゲルトペアだ。 ゲルト「うおおおおおおおおお!!」バラララララララ シャーリー「おっしゃああああああ!!」バラララララララ 2人が放った弾丸がネウロイを射止める。 ゲルト「どっちも・・・」 シャーリー「あたったよな・・・」 すると突然ネウロイが動き出す。 ミーナ「トゥルーデ、シャーリーさん!今回はおそらくあなた達だわ!」 ゲルト「そういうことなら・・・」 シャーリー「やってやろうじゃないか!」 そう言ってネウロイへと向かう二人。 ゲルト「ずおりゃあああああぁぁぁぁ!!」バラララララララ シャーリー「もってけぇ!」バラララララララ 普段はいがみ合うことの多い2人だが、いざコンビを組むと絶大なコンビネーションを発揮した。 芳佳「すごい・・・!」 ルッキーニ「いけー!シャーリー!!」 俺「俺、今回いらなくないっスか・・・?」 しかしネウロイも負けじと抵抗する。砲台の部分からビームを何発も連続で放つ。 シャーリー「発射までの間隔が短いな・・・」 ゲルト「ならば主砲を叩くまで!」 2人は対象を主砲へと変えた、その時 シャーリー「なに!?」 ゲルト「分離しただと!?」 ネウロイは二つに分離した。 1体は戦車の本体。もう1体は戦車の砲台の部分から手と足が生えたネウロイだ。 俺「そういうことかよ!」 反応が2つあった正体はこれだ。 サーニャ「敵の分離を確認!コアが分散しています!」 ミーナ「俺さん、宮藤さん!2人を援護して!」 俺&芳佳「了解!」 芳佳「私はバルクホルンさんのほうを援護します!俺さんはシャーリーさんを!」 俺「わかったっス!」 二人はそれぞれ援護へと回る。 俺「今日は必要ないと思ったんスけどね・・・見せ場できて安心っス。」 シャーリー「おー、サンキューな。でもおいしいとこはいただくからな。」 俺「了解っス。」 芳佳「バルクホルンさん!」 ゲルト「宮藤!お前が援護してくれるのか?」 芳佳「はい!バルクホルンさんの背中は守らせていただきます!」 ゲルト「ああ、頼りにしているぞ。」 芳佳「はい!」 それぞれが攻撃を開始する。 攻撃を当てた結果、本体をゲルトが砲台をシャーリーが攻撃できることが分かった。 ゲルト「しかし・・・さっきからあいつビームを撃たないな・・・」 芳佳「それどころか突撃ばかりしてくる気が・・・」 グオオオオオ!! とチャリオットが咆哮をあげ再び突撃を仕掛けてくる。 ゲルト「肉弾戦か・・・いいだろう!」 そういってゲルトは銃を逆手に持ち替える。 ゲルト「はああああああぁぁぁぁぁ!!!」 グオオオオオオオオオオオ!! チャリオットも負けじと突撃してくる。 ガンッ!とぶつかり合う音と共に衝撃波が発生する。 エイラ「マジかよ・・・」 サーニャ「大尉・・・すごいです・・・」 ゲルトは魔力こそ衰え始めているが気力は以前の何百倍もあった。 ウィッチの魔力はそのときのテンションやコンディションが大きく影響するという。 今のゲルトはテンションもコンディションも最高潮だった。 ゲルト「うおおおおおおおりゃあああああ!」 そしてゲルトが押し返す。チャリオットはそのまま体制を崩した。 ゲルト「宮藤!」 芳佳「はい!」シュンシュン! そこを宮藤がビームで追撃する。 一方・・・ シャーリー「ちょこまかと・・・!」 ストレングスはその姿に似合わず動きが早かった。 俺「俺がいくっス!」 俺がストレングスを銃の射程範囲に入るまで肉薄する。 俺「ちょっとおとなしくしろッ!」ガガガガガガガガ オルフェウスの異常な機動で移動しながら発砲。 放たれた紫電の弾丸がストレングスを様々な角度から射止める。 感電したためか、ストレングスの動きが鈍り始める。 俺「シャーリーさん!」 シャーリー「うおおおおおおおお!!」バラララララララ シャーリーが全力で弾丸を放つ、が。 俺「!?」 チャリオットとストレングスが互いにピンチになった瞬間、2体は再び引き寄せられるように合体した。 ゲルト「また1体になったか・・・仕方ない、シャーリー!アレをやるぞ!」 シャーリー「え?マジか!?」 ゲルト「おおマジだ!俺、宮藤!私たちが攻撃するまで装甲を剥いでくれ!!」 俺&芳佳「了解!」 ゲルト「さぁ準備しろシャーリー!」 シャーリー「わかったよ!」 俺「スルト!!」 刀から現われた蒼炎が、弾丸のようにネウロイを襲う。 芳佳も機関銃で装甲を削っていく。 ここで少しばかり装甲から赤い光が漏れ始める。 ゲルト「そこをどいていろ宮藤!!」 芳佳「え?」 ゲルトたちのほうを見るとシャーリーがいつもルッキーニとやっているようにゲルトをジャイアントスイングしていた。 シャーリー「いっけええええええバルクホルン!!」 固有魔法の超加速で一気に投げ飛ばされるゲルト。 そしてゲルト自身の固有魔法である身体強化により腕に極限まで力を込める。 ゲルト「くらええええええええええええぇぇぇ!!」ガンッ! すさまじい音と衝撃波が周りを走る。 ネウロイの装甲にひびが入り、コアも衝撃波で微塵に砕ける。 そのままネウロイは花びらのように海面へと散っていった。 ゲルト「ふぅ~・・・」 シャーリー「よっし!やったな、バルクホルン!」 俺「すご・・・」 芳佳「やっぱり、お2人ともすごいです!」 今回のアルカナネウロイ、チャリオットとストレングスはゲルトとシャーリーのコンビネーションにより見事に撃退された。 続き→ペルソナ9 -ページ先頭へ
https://w.atwiki.jp/oreqsw/pages/375.html
槍 3 俺「ストライクウィッチーズだ!」 5-29 作者 ID xhR5GGxdP 総レス数 XXX このページでのレス数 XX 5 ヘタレ俺tuee[] 投稿日:2010/10/15(金) 05 16 40.37 ID xhR5GGxdP 前スレ続きー オクスタン 槍「さすが中佐、助かりますね…なら俺も…!突撃槍!!」 そう叫ぶと同時に彼の前方に円錐状の極大のシールドが形成され、そのままトップスピードで敵陣を貫いていく。 ネウロイもビームを放つが、尽くシールドに弾かれる。 不運にも先端に捕まったものは当然のごとく貫かれ、突撃に巻き込まれたものも弾かれてバランスを崩す。 そしてすぐさまミーナの射撃が、バランスを崩し単なる的となったネウロイを一機ずつ落としていく。 そして槍少尉は敵陣から少し距離をとった後シールドを解除し、反転してまた敵陣に突っ込んでくる。 ネウロイもビームを放つが、今度はやや小さめ、人間をギリギリ覆う程度のシールドを出しビームを防ぐ。それは何発ビームを受けても小動もしない。 先頭のネウロイに近づくと、彼はわずかに上方に加速を入れたあと体を前転させるように浴びせ蹴りを見舞う。 そのかかとには小さな球体のようなシールドがあり、それによる高速の打撃をうけたネウロイは、為す術も無く墜落し消滅する。 その場を離れると、今度はアームストライカーの加速で体を回転させ先程のように拳にシールドをまとい、その勢いで近くのネウロイに裏拳を放つ。 そして敢え無く吹っ飛ばされ、巻き込まれた2体ほどもまとめて墜落する。 ネウロイも負けじとビームを放つが今度はほとんどがアームストライカーによる高速の変則機動によりかわされ、 それ以外のビームも最小限の大きさのシールドで弾かれる。 あとはただ圧倒的だった。予測不能の変則機動で接近し、一方向の加速を回転力に変換、そのまま威力を増した シールドをまとう四肢による直接攻撃で、ネウロイを次々と屠っていく。 7 ヘタレ俺tuee[] 投稿日:2010/10/15(金) 05 20 48.52 ID xhR5GGxdP ミーナ「まさか…これ程とはね…」 もちろんミーナも何もしてなかったわけではない。槍少尉に注意が向いているネウロイを端の方から次々と落としていく。 だが少尉の撃墜スピードには到底及ばない。100体以上いたであろう小型機は、わずか10分ほどで残り20数機を残すのみとなった。 数が減ったことで戦法を変えたのだろう、少尉は今度は両手にブレード状のシールドを形成し、 時にビームを切り裂き、時にそのままネウロイをまっぷたつにする。 そして残りがニ体を残すのみとなり、ほぼ同時に最後の一体ずつを撃墜する。 槍「助かりました中佐。中佐が援護してくれたおかげで初撃を簡単に当てることができました。」 あれだけの激戦と高速機動をこなしても尚、少しばかり息を吐くばかりでそれほど疲れている様子はない ミーナ「貴方の腕のユニットと固有魔法はそんな使い方もあるのね。いや、それが正しい使い方なのかしら。」 少し過去を懐かしむように彼は語る。 槍「…元々はこのアームストライカーはウィッチとしての寿命を終えてしまった同僚から託されたものです。 それまではシールドを用いて接近し、超至近距離からの銃撃でネウロイを攻撃していました。それなら外す心配はありませんし。 これを託され、まぁセンスもあったんでしょうね。次第に複雑な機動を自由に行えるようになり、 今の、シールドでぶん殴ったり蹴っ飛ばしたり、そんな戦闘スタイルに行き着きました。」 ふと、彼のスコアがわずか50機ほどだったことを思い出す。これほどのセンスがあればまさかアレだけの撃墜数ということはありえまい。 ミーナ「あの記録上のスコアは嘘ね…?」 槍「あの作戦に参加する前、そして帰還したあと各地を転々としながら稼いだスコアを数えればアレであっています。 ですが…ダンケルクでの連戦に次ぐ連戦で記録を付けている暇もなく…帰還後適当に申告することもできたでしょうが そんなことをする気力もなく、一先ずそのままになっていた感じです」 思い出したくない過去なのだろう、少し顔をしかめながら、それでも平然を装う。 8 ヘタレ俺tuee[] 投稿日:2010/10/15(金) 05 27 22.48 ID xhR5GGxdP ミーナ「でも、いくらかは覚えているでしょう…?」 槍「あそこでの戦闘だけですと…180機ほどまでは覚えているのですが、それ以上は…。同僚も死に、 避難者も攻撃にさらされ、そこからは無我夢中で戦闘をしかけ、途中力尽きました。あとは後日森の中で気絶している自分を発見したそうです」 ミーナ(記録にある、最後まで最前線で戦い続けていたウィッチ…それが彼ならばその場だけでも30機以上は落としているはず… まさかカールスラントが誇るウルトラエース級のウィッチがここにもいたなんてね。) 坂本「ガガッ――ミーナ!大丈夫か!?こちらは目標を殲滅し帰還する途中だ。」 ミーナ「美緒?こちらは大丈夫よ。先行していた小型ネウロイを殲滅し超大型の襲来に備えているところです。 申し訳ないけど…準備ができ次第こちらに援軍に来てもらえる?」 坂本「ああ!すぐに向かう!――ガガ」 ミーナ「さ――きたわね…」 槍「でかいですね…」 目の前に全長数百もあろうかという巨大ネウロイが姿を見せ始める。 ミーナ「さてどうしましょうか?」 槍「俺は貴女の一番槍です。皆が来るまでは貴女を守ります。」 ミーナ「あんまりそういう恥ずかしいことをポンポン言わない方がいいわよ?」 少し顔を赤くしながらミーナは言う。 槍「でも実際時間稼ぐとしてもそれくらいしかないでしょう。俺が防御をします。隙をみて 攻撃をお願いします。」 ミーナ「わかったわ。行くわよ!」 10 ヘタレ俺tuee[] 投稿日:2010/10/15(金) 05 34 01.88 ID xhR5GGxdP ミーナは上空にストライカーを飛ばし、頭部、と思われる部分に集中攻撃をかける。 ミーナ「外殻は普通、いや少し硬いくらいね。銃でも十分削れる…」 槍「中佐!!」 彼が叫んだ次の瞬間、ネウロイの頭部と思われる部分から極太のビームが射出される。 槍「ぐっ!!」バシュ 片方だけを厚くした巨大な三角柱のようなシールドでビームを横に受け流す。 ミーナ「だ、大丈夫!?少尉。」 槍「えぇ、なんとか…でも正面から受け止めるのは恐らく無理です。見たところ攻撃の前に一瞬間があります。 それをみてかわしたほうが良さそうです。なるべく一箇所にとどまらないように攻撃をしかけましょう」 ミーナ「…攻撃を仕掛けるのはいいけど私一人じゃたかが知れてるし撹乱にもならないわ。 大物用の隠し玉くらいあるでしょう?出し惜しみなんてしてられないわよ?」 槍「……わかりました。でも、決して正面には立たないでください。自分も攻撃に転じます。」 そういうと槍少尉は一気に上昇しネウロイ全体を見下ろせる位置に陣取る。 ネウロイは正面上空に位置する敵影に狙いを定めた。横からミーナが射撃による攻撃をかけるが全く動じる気配はない。 動きが止まるのを確認すると少尉は一気にネウロイに向けて加速を入れた。 大口径ビームの射線上を一気に疾走する。 ネウロイの極大のビームが放たれた。 11 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/15(金) 05 35 12.99 ID or9AmZPa0 そーいやパティもシールドコントロールだったな 13 ヘタレ俺tuee[] 投稿日:2010/10/15(金) 05 42 24.99 ID xhR5GGxdP ミーナは彼の名前を呼ぶと共にビームの射線上を見る、しかし少尉は真上に一瞬で軌道をずらし、ほぼスレスレで直撃を避けていた。 軌道をずらしても、彼の疾走は続く。そのまま残り数メートルの射程に入った後、体を捻り、アームストライカーで回転を加速する。 ランツェ 槍「投槍!」 その叫びと共に渾身の足刀が振り下ろされた。そのつま先には細長い円錐状のシールドが形成され、ネウロイの外殻に深く突き刺さる。 その瞬間、轟音と共に巨大なネウロイが小揺るぎした。 わずかながらネウロイの動きが止まる。 槍「さすがに、この程度じゃ大したダメージにはなりませんね…」 ミーナ「すごい…」 彼女は驚愕していた。自分ではまるでダメージを与えられなかった敵に、彼はわずか一撃で有効打を入れてみせた。 これならば、あの200機以上のスコアにも納得が行く。恐らく、中型程度ならば一撃で撃墜して見せるだろう。 ミーナ「援軍はまだなの…?」 だがこの超大型ネウロイには彼の一撃ですら致命打にはなりえない。 集団での撹乱により少しずつ外殻を削る、もしくはさらに大きな一撃で一気に粉砕するしか無い。 14 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/15(金) 05 43 27.70 ID B5AgvOad0 やっててよかったドイツ語名称満載のスパロボOG 15 ヘタレ俺tuee[ドイツ語は響きだけでカッコいい] 投稿日:2010/10/15(金) 05 47 29.88 ID xhR5GGxdP その瞬間、期待に答えるように10機ほどのストライカーのエンジン音が耳に届く。 坂本「ミーナ!!無事か!?」 ミーナ「美緒!!」 ハルトマン「でっかいねー」 バルクホルン「そんなことを言っている場合か。」 エイラ「全く目障りな奴ダナ。さっきもデカイの倒したばかりなのに。」 サーニャ「エイラ、そんなこと言っちゃダメだよ。」 ミーナは顔を引き締める。 ミーナ「行くわよ。まずは連携して外殻を削りなさい!」 全員「了解!」 その瞬間伝説の部隊ストライクウィッチーズの一斉攻撃が始まった。ネウロイも敵が増えたことにより 通常のビーム、それでも十分に大きい、で弾幕を張り応戦する。それでも 四方八方からの銃撃、ライフルによる貫通弾、ロケットランチャーによる波状攻撃が外殻を少しずつ削っていく。 だが、 坂本「コアは奴のほぼ中心だ。このままちまちまと削り続けてもジリ貧になる。」 ミーナ「そうね…戦艦の主砲でもあればね…とも思うけど個人の武装じゃこれ以上は…」 16 ヘタレ俺tuee[] 投稿日:2010/10/15(金) 05 54 21.28 ID xhR5GGxdP 槍「……」 その時槍少尉が口を開いた。 槍「…手はなくはないです。」 全員が驚愕したようにその言葉に耳を傾ける。 槍「5分、いや4分でいいです。海上にあのネウロイを引きつけてください。」 攻撃を仕掛け続けているが、戦場はネウロイに少しずつ引っ張られ、内陸に近づいてきている。 このまま放置すれば上陸されるのも時間の問題だろう。 槍「海上に引きつけた後、1分ほどでいいのでネウロイを足止めしてください。 きっと、いや必ず、一撃で決めてみせます。」 ミーナはその言葉をゆっくりと噛み締める。 ミーナ「わかりました。皆さん、聞きましたね?私たちはこれより槍少尉のために時間を稼ぎます。」 バルクホルン「お、おいっ!ミーナ!」 ミーナ「いいのよね…?槍少尉…?」 クローネン・シュタッフェル ランツィーラー 槍「はい…! 王 冠 中 隊 の一番槍。 その名の由来を、ここに示します。」 17 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/15(金) 05 57 22.90 ID 7I7JovkrP 前スレ忠誠の言葉がイイな 姫に槍とか剣とか盾を捧げる、 かっこいいぜ 18 ヘタレ俺tuee[] 投稿日:2010/10/15(金) 05 59 08.41 ID xhR5GGxdP バルクホルン「王冠中隊…?」 坂本「一番槍…?」 ミーナは躊躇いもなく自分の経歴を示すその言葉を発した彼に対し、嬉しく思った。 もう過去にとらわれてはいない。それを示す彼の言葉。 だから、自分も彼を信じよう。 ミーナ「ともかく今は私を、いえ、彼を信じてください。」 槍「中佐、ありがとうございます。では…行きます!」 その言葉と共に、彼が空をぶち抜いた。いやそう形容するしか無いようなスピードで、 天空高く昇っていく。 ミーナ「皆さん!なんとしても上陸されないようにネウロイを押しとどめます! 総員!火線をまとめて敵の侵攻を止めなさい!」 他「了解!」 19 ヘタレ俺tuee[] 投稿日:2010/10/15(金) 06 07 15.25 ID xhR5GGxdP ――上空―― 槍(ずっと忘れていたような気がする。互いに信頼し合い、そして互いが最善をつくす、 それだけで得られる高揚感。) 思えば、あの撤退戦に参加してから、ひたすら期待されるだけだったような気がする。 当たり前のように目の前のネウロイを殲滅することを課され、そして彼、いや彼らはことごとく答え続けた。 槍(思えば、隊長もそんな自分を心配してくれていたような気がする…) (隊長「もっと気楽にやったらどうだ?誰も言わねーがこの撤退戦で全員が生き残れるなんて本気で思ってる奴なんざ いやしねーよ。全員を守るなんて土台無理な話だ。俺達は突き詰めれば、100人のうち51人を生かせたならば 良しとしなければなんねぇ立場にいる。」) 槍「不謹慎だと食ってかかったっけなぁ…。」 結局覚悟を決め戦場に立つ人は、みな同じような覚悟をするのだろう。 上官とはいえ年下の少女ですらはるか昔にしている覚悟を、自分は何一つできていなかったことを、 彼はいまさらながら恥ずかしく思う。 彼はすでに雲を突き抜け、上空8千メートルの高さにいる。円錐状のシールドを展開し空気抵抗を減らし 四肢のストライカーを全力駆動させたそのスピードは、 少なくとも垂直上昇においては誰も付いていくことはできないだろう。 槍「あの時はこの辺からでもなんとかなったけど…今回は少し厳しいかな…」 そう言ってまだ速度を緩める気配はない。 槍「空が、綺麗だ…」 そして上空1万メートルの高さにたどり着く。 槍「ミーナ中佐!」 20 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/15(金) 06 11 16.96 ID JwJA2Ql7O おもろい ミーナのいちゃつき期待 21 ヘタレ俺tuee[] 投稿日:2010/10/15(金) 06 12 41.18 ID xhR5GGxdP ――海上―― 槍「ガガ――ミーナ中佐!」 ミーナ「少尉!?」 槍「タイミングは任せます。ネウロイを完全に釘付けにして、その座標を教えてください。 俺の槍は必ずそこを貫きます。」 ミーナ「(槍…?)わかりました。座標は私が指示します! 皆さん、少尉の準備ができました!一斉攻撃!」 その瞬間皆が力を解き放った。小柄なウィッチ二人が突撃しネウロイの両端をぶち抜きバランスを崩させる。 巨大な機関銃を両手に構えたバルクホルンが、棍棒のようにそれらをネウロイに叩きつけ、 少佐が正面からビームごとネウロイに斬撃を届かせる。 ペリーヌが全力の雷撃を背部から打ち込み、次々と銃弾がその外殻に叩きつけられる。 ミーナ「今です少尉、座標は――!」 ――上空―― 槍(よし、行こう…) そしてフワフワと浮きながら狙いを定め微調整し、両手を広げ目を瞑り、背後へ向かって倒れこんだ。 ちょうどバンジージャンプをするかのように、彼が垂直落下の加速度にさらされる。 その瞬間、四肢のストライカーが火を噴いた。上昇時と同じように、円錐状のシールドで空気抵抗を減らす。 だが上昇時とは違う、重力加速度も上乗せしたその速度は、上昇時のトップスピードを遥かに超えて加速していく。 そして雲を突き抜けると同時に、速度はほぼ音速に達した。 突き抜けた雲ではない、彼の背後に圧縮された水蒸気が尾を引き、ヴェイパートレイルが空に白線を引く。 22 ヘタレ俺tuee[] 投稿日:2010/10/15(金) 06 18 24.93 ID xhR5GGxdP イチャつき最後にちょっとしかないからあんまり期待しないで --------------------------------------------------- ――海上―― ネウロイに絶え間ない波状攻撃をかけながらも、ミーナはその幻想的な光景に目を奪われる。 青く鋭く尖ったシールドを纏ったウィッチが、背後に白線を引きながら天空高くから雲を突き抜けてくる。 ミーナ「青い刃に白い柄、まるで空色の槍のよう…」 槍(座標にほぼ誤差はない…。これならコアを確実に打ち抜ける…) 彼はその速度の中無理に体を捻り、ほとんど速度を殺さずに半回転した。 その際、渾身の蹴り下ろしをとどめとばかりにシールドに上乗せする。 この槍が彼の異名の由来。いかなるネウロイも、一撃のもとに刺し穿つ、王冠中隊の一番槍。 その名は―― ヒンメル・ランツェ 槍「 天 槍 !」 その瞬間、音速を超える槍が、巨大なネウロイの直上から穿たれる。 天を貫く槍はネウロイを完全に貫通し、そのまま海面を叩く。 その瞬間数百メートルにも及ぼうかという巨大な水柱が上がる。 水柱が消え去るとほぼ同時に、中央に大穴を穿たれ、コアの消し飛んだネウロイが霧散していく。 戦闘が終わった。 23 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/15(金) 06 19 07.00 ID oExg7ceU0 ヴェイパーコーンとかシャーリー形無しwww 24 ヘタレ俺tuee[] 投稿日:2010/10/15(金) 06 25 34.75 ID xhR5GGxdP 正直ヴェイパートレイルを柄に見立てた槍が思いついたからこんなん書いてたりする ----------------------------------------------------------------------- 宙を舞うウィッチーズたちは、目の前の恐怖が去ったことに安堵し歓喜した。 しかし、空中にも海面にも、彼の姿がない。 ミーナ「少尉!槍少尉!!無事なの!?」 反応はない。海面に叩きつけられた時もシールドはあった。粉々になっているようなことはないだろうが、 無事と断じられるほど楽観できるような状況でもない。 ミーナ「少尉!!少尉!!」 だが答えはない。彼女の顔が恐怖で歪む。すぐさま叩きつけられた海面近くに降り立ち、必死に呼びかける。 他の隊員も近くに降り立ってくる。 その時、ようやく見慣れた顔が浮き上がってきた。 槍「はぁ…はぁ…はぁ…ゲホッ!」 ミーナ「生きてた…!生きてた…!槍少尉!」 槍「すいません…ちょっと助けてもらえますか…?体力も魔法力もちょっと限界でして…」 そんな一言に苦笑を浮かべながら、みんなで彼を引き上げ、そのまま近くの砂浜まで運んだ。 25 ヘタレ俺tuee[] 投稿日:2010/10/15(金) 06 31 23.05 ID xhR5GGxdP ミーナ「もうちょっと上手くやれなかったの?海面に叩きつけられ時はさすがに焦ったわよ。」 槍「いえ…確実に貫くために、少し高度を上げすぎたみたいで…減速が間に合わなかったんです。 いつもは、ネウロイを貫通した後急減速して半球状のシールドをクッションにして着水するんですが、 今回は速度が普段より速かったのと、加えて思いのほかネウロイから海水までの距離が近かったので シールドの形成も間に合わなくて…」 ハルトマン「トゥルーデがあんなに思いっきりぶっ叩くからじゃない?あれでだいぶ高度下がったじゃん」 バルクホルン「わ、私のせいか…!?仕方ないだろう!あんな無茶な方法で倒すとは思わなかったんだ!」 ミーナ「そうね…確かに無茶が過ぎるわ少尉。今後あの技は十分な高度を取れている時だけにしてください。 いえ、取れていたとしてもあれは私が許可を出したとき以外はやらないで頂戴。 あれでは貴方の命がいくつあっても足りません。」 槍「ですが…!?」 ミーナ「………。」 槍「わかりました…。」 他「………。」 シャーリー「なぁ?なんか槍がやけにミーナに従順というか、仲良くなってないか?」 坂本「仲が良くなるのはいいことじゃないか。」 槍「そうです。中佐は自分に答えをくれました。だから、自分は中佐の一番槍となり、 どんな時も、中佐の望むがままに力を奮います。」 26 ヘタレ俺tuee[] 投稿日:2010/10/15(金) 06 36 59.31 ID xhR5GGxdP シャーリー「一番槍…」 バルクホルン「望むがまま…」 ハルトマン(ニヤニヤ) リーネ(カー///) ペリーヌ「お熱いことですこと…」 宮藤「ちょ、ちょっとペリーヌさん!?」 ミーナ「そ、そんなんじゃないわよ…別にそういうのじゃなくて…!」 槍「違うんですか……?」 ミーナ「!?!?!?………違、わないわよ…」 坂本(おぉ) バルクホルン(ふむ) ハルトマン(うわぁ) ペリーヌ(まぁ) シャーリー(おーおー) ルッキーニ(うじゅー) エイラ(フムフム) サーニャ(ワーワー///) リーネ(キャー///) 宮藤(ワクワク) ミーナ「皆さん…?何かいいたいことでも?」 全「いえ、何も」 27 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/15(金) 06 38 52.68 ID JwJA2Ql7O ほぅほぅ 28 ヘタレ俺tuee[] 投稿日:2010/10/15(金) 06 43 25.88 ID xhR5GGxdP ミーナ「それでは帰投します。槍少尉の方は…」 坂本「ミーナが運べばいいじゃないか。」 ハルトマン「そうそう。」 槍「いえ…自分は別に。少し休めば一人でも何とか…」 坂本「運んでやったらどうだ?」 バルクホルン「運んでやれよ」 ハルトマン「運んであげたら?」 ペリーヌ「運んであげたほうがよろしいと思いますが」 シャーリー「運んであげなって」 ルッキーニ「運べー」 エイラ「運んでヤリナヨ」 サーニャ「運んであげた、ほうが…」 リーネ「置いていくのは可哀想ですし…」 宮藤「中佐!頑張ってください!」 槍「……中佐?」 ミーナ「もう…!わかったわよ!」 他「じゃ、私たちはこのへんで」 ハルトマン「ごゆっくりー」 29 ヘタレ俺tuee[] 投稿日:2010/10/15(金) 06 51 16.87 ID xhR5GGxdP 後には二人だけが残された。気まずい雰囲気に負けたかのように彼が声をかける。 槍「あの…中佐?」 ミーナ(全く…またそんな顔を…) 超大型ネウロイを一撃で仕留める人間が、こんなところで不安そうに自分を見上げている。 ミーナ「さ、帰りましょう。掴まりなさい。」 彼は恐る恐る彼女に手を伸ばす。 戦う意味を示して、その力の矛先を自分が決める。たったそれだけの事のはずなのに、 恐らくこの人は自分の全てを私に預けようとしている…。わかっているのだろうかその意味が。 でも、それは酷く重いモノのはずなのに、なぜか支えてあげなくちゃならないと強く思う。 槍「申し訳ありません、中佐…」 でも自分がこんなにもドギマギしているというのに、ひたすら慄くだけというのは酷く気に食わない… ミーナ「そうね。主君と騎士のような関係になったわけだし、私のことはもう名前で呼ぶといいわ。」 槍「!?!?えぇ!?」 ミーナ「あのとき大佐の地位も用意されてたんでしょう?なら私よりも階級は上だったはずじゃない。 そもそも貴方の方が年上でしょ?年下の女に一方的に呼び捨てにされて恥ずかしくないの?」 槍「いえ決してそんなことは…なら…ミーナ中佐と…」 この期に及んでこの人は… ミーナ「……」 だから、ちょっとした意地悪をしたくなる。 槍「ミーナ…さん?」 ミーナ(そんな必死になって…) ミーナ「……まぁ今はそれで由としましょう。」 もう駄目だろう。自分はもうこの人に惚れている。この弱さも強さもすべて引っ括めて愛しいと思う。だから… 彼女は彼の頬に手を添える。 槍「……ミーn!!?」 ずっと支えていく、その誓いと、精一杯の感謝を込めて口づけをした。 ――Fin―― 30 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/15(金) 06 52 21.37 ID oExg7ceU0 いい話だった 乙 31 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/15(金) 06 54 18.65 ID JwJA2Ql7O 乙 あんまいちゃつきなかった…… 33 ヘタレ俺tuee[] 投稿日:2010/10/15(金) 06 56 57.61 ID xhR5GGxdP やったー終わったー 完璧超人の俺tueeより精神的に弱いほうが書きやすかったのでこんな男になっちまったぜ 31 イチャつきもデレも少ないっていったじゃないですかー でも思いついたらアフターエピ書くかも、ミーナの嫉妬とかそんな辺りをクローズアップして 34 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/15(金) 06 57 01.61 ID B5AgvOad0 いやいやこれで十分だ、乙 貫徹した甲斐があったというもの 35 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/15(金) 06 57 47.55 ID B5AgvOad0 あ、でもアフター書いてくれるなら読むよ!もちろん! 36 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/15(金) 06 59 02.07 ID 7I7JovkrP 23 イェーガー氏の偉業は「水平」飛行で音速を突破した点にある 垂直落下でなら、充分な高度と、空気抵抗に耐えられる強度さえあればいい 極端な話、エンジン積まなくても良いくらい 実際、非水平飛行ならレシプロ機でも音速を突破した例はある、らしい 37 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/15(金) 06 59 57.28 ID 7I7JovkrP 乙 ここ最近で一番良かった 38 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/15(金) 07 01 32.39 ID oExg7ceU0 36 そういうこまけぇ事言ってんじゃなくてよ・・・ 39 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[sage] 投稿日:2010/10/15(金) 07 04 11.96 ID JwJA2Ql7O さてミーナのアフターストーリーでも期待しながら 飯でも食うか 40 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/10/15(金) 07 04 42.27 ID 7I7JovkrP ようは、速さは結局シャーリーが一番だってことだ 戻る トップヘ 次へ
https://w.atwiki.jp/vip_witches/pages/148.html
9・俺「ストライクウィッチーズだよ」 386-416 最終話『未来のために』 ~連合軍司令部 会議室~ いまこの場に、ふたりの男がいる。 ひとりは俺、もう一人は傲慢と尊大さを溢れさせた恰幅のいい男。 彼の名前を、俺は知らない。 俺の所属する第9陸軍研究所に出資している 芝村財閥系の将軍であることだけを知っている。 芝村は無駄に自分の名前を隠すことを美徳としているのだと聞いたことがあった。 「今度このイタリア半島を完全に奪回する作戦。オペレーション『マルス』が発動される。 今日来てもらったのはその為だ。貴様に潜入任務を頼みたい。」 「潜入任務……でありますか。」 「そうだ。貴様と大和と共に来た士翼号部隊『雷電』で、ヴェネチア上空のネウロイの巣に潜入。 内部にあると考えられるコアの位置を特定してもらう。」 「内部にコアがあるのですか?」 「そうだ。研究の結果、あの巣自体が巨大なネウロイであることは既に判明している。 なればそのコアを破壊することで、巣を取り除くことができる。」 なるほど、と俺は納得した。次の疑問に移る。 「潜入してコアの位置を特定するだけでありますか?破壊はしなくてよろしいので?」 その問いに芝村が答える。 「コアの破壊自体は戦艦・大和が行う。海軍にもいい顔させねばならんからな。」 そうだった。もともと大和はこのロマーニャに派遣されたのは、巣を攻略する戦力としてだ。 「了解しました。その任務お受けいたします。」 俺はそういうと敬礼をした。 「ああ、作戦が始まるまでに遺書を書いておけ。悔いのないように。」 ~501戦隊基地 エントランス~ 「あ、俺さん、お帰りなさい!」 「おはようございます。どこに行ってたんですか?」 司令部から帰ってきた俺を出迎えたのは、ちょうど朝の訓練を終えた芳佳とリーネだった。 「ああ、司令部に呼び出されてね。ふたりは訓練か?」 「はい、なんでも作戦が近いから気合を入れて走れ!って坂本さんが。」 「ああ、作戦ね。そうだな、気合を入れなければ。」 「俺さん?どうかしたんですか?」 リーネは様子のおかしい俺を心配する。 「いや、なんでもないよ。さて、腹が減ったな。朝飯に行くとしよう。」 ~501戦隊基地 会議室~ 「本日司令部より、このイタリア半島奪回作戦『マルス』の発動が下されました。 明朝、我々501航空団は、戦艦・大和を中心とした決戦部隊に合流。これを護衛し、 ネウロイの巣の撃滅をはかります。」 ミーナが501の面々に作戦の発動を伝える。ゲルトが質問した。 「だが、いくら大和や他の戦艦が強力でも通常戦力だろう?」 その問いには俺が答える。 「いえ、他の戦艦はそうですが大和は違います。 大和には、この決戦のために搭載された新兵器、 通称「コア機関」が搭載されています。 これは士翼号に使われているものを巨大化したようなもので、 ここから発生した魔法力を艦全体にいきわたらせることで、 ちょうどウィッチが武器に魔力を流すのと同じ状態に持って行きます。 この状態であれば大和にはシールドの展開や自動修復が行われ、 また、士翼号の『精霊手』にあたる特装砲『波動砲』が発射可能になります。」 「我々501はネウロイの巣の中にあると思われるコアの発見と、『波動砲』による コアの破壊が行われるまで、大和を援護する。」 「ちょっと待って、コアの発見はだれがやるの?」 エーリカが質問する。俺が答えた。 「私です。私と扶桑からきた『雷電』が巣に飛び込み、内部のコアに誘導装置を取り付けます。」 「そんな、危険です!」 俺の言葉に芳佳が叫んだ。 「危険は承知の上だ。しかしネウロイのコアに『波動砲』があたらなければ、この作戦の意味がない。」 「だったら、私も行きます!」 「わたしも一緒に!」 芳佳とリーネが言うが、 「ダメだ。司令部から突入は俺たちだけだと厳命されている。 大和が撃破されてしまったら元も子もないからな501は全員大和の護衛をする。」 「そんな……」 沈む空気のなか、俺が発言する。 「まぁ、作戦が上手くいけば無事に帰ってきます。ようは勝てばいいんですよ。」 「そうダナ、勝てばいいんダ。」 501のみんなは口々に『絶対に勝とう』と奮起する。 でも芳佳とリーネの顔色が晴れることはなかった。 ~501戦隊基地 廊下~ 作戦説明が終わり、各自最終調整を行うということで解散となった。 結局最後まで沈んでいた。芳佳とリーネに俺は声をかける。 「そんな顔をしないでくれ。死ぬと決まったわけじゃないんだし。」 「でも……危険です。ほんとにわたし達も一緒に行っちゃダメですか?」 泣きそうな声で芳佳に言われた俺は答える。 「ああ、ダメだ。」 「どうしてですか!わたしたちが一緒に行けば成功する確率だって!」 リーネは涙を堪えきれずに泣き出してしまった。 「……ふたりには、俺が帰ってくる場所を守ってほしい。 せっかく任務に成功しても、帰る場所がないんじゃ仕方ないだろう? だから一緒にはいけない。 なぁに大丈夫。必ず帰ってくる。この戦いが終わったらふたりに言いたいこともあるしな。」 だから泣かないでくれと俺はふたりを抱きしめてそういった。 「絶対ですよ。」 「帰ってこなかったら承知しませんから」 「ああ、必ず。」 ~ヴェネチア近海~ 各国から派遣された戦艦隊が、ヴェネチアを目指し進軍する。 「ヴェネチア上空の巣まで残り20km、巣より迎撃部隊の発進を確認!」 「各航空隊、および戦艦隊は迎撃を開始せよ!」 戦闘機と魔女がネウロイと交戦を開始し、戦艦の主砲が火を吹いた。 「とうとうこの日がやってきたな。艦長、『コア機関』を始動させろ!」 艦隊司令の山本が杉田艦長に指示を出す。 「諒解しました。全艦に通達、『コア機関』始動!」 命令を受けコア機関に専属のウィッチたちが魔力を注ぎ始める。 その魔力を受けて巨大な人造コアは稼動を開始し、艦全体に魔力を送り始めた。 ~艦隊上空~ <<ちっ、数が多い!>> <<ぜんぜん減らないよー!>> <<うろたえるな!勲章が向こうから飛んでくると思えばいい!>> 人類側の迎撃をものともせずに襲い掛かるネウロイたち、 それらのかなりの数を撃破したが、こちらの被害も軽くはない。 戦艦・ビスマルクが艦橋を大破、沈黙し、多数の駆逐艦が沈んでいる。 <<魔法力が尽きたものは、各機空母天城に撤退して!>> <<そんな暇はないぞミーナ!……烈 風 斬 !!>> 501の面々もまた、必死に戦っていた。 「俺さん……」 「芳佳ちゃん、きっと大丈夫だよ。だからがんばろ!」 「そうだよね。俺さんの帰る場所を守るんだ!」 ~ネウロイの巣 内部~ ズバァアア!! 俺の士翼号の剣が目の前の敵を一閃し、撃破する。 <<雷電!ちゃんとついてきてるか!>> ここまで来る間に100を越える中型ネウロイを撃破している。 子型は途中から数えるのをやめたほどだ。 <<ええ、全機、生きとります少尉!ですがコアはまだですか?>> ところどころ装甲が剥げているものの、雷電も全機無事だった。 <<反応を見る限りではすぐそこだ、急ぐぞ!>> エーテルジェットを噴かし、立ちふさがる敵を斃して俺たちは先を急ぐ、 しばらく行くといままでとは違う広大な空間に出た。 <<見つけた!ネウロイのコアだ。それにしてもなんて大きさだ……>> そこには士翼号が豆粒に思えるほど大きなコアが禍々しく輝いていた。 <<私が装置を取り付ける。雷電は周辺を警戒しろ!>> <<『了解!』>> ~ヴェネチア近海 決戦艦隊~ 「誘導電波を探知!ネウロイのコアを特定できた模様!」 大和の艦橋士官がそう叫ぶ。 「でかした!ようし、作戦を最終段階に移行、大和、浮上せよ!」 山本の命令と共にコア機関が全開にされ、大和の巨体が空へと持ち上がる。 「了解。『コア機関』出力最大、大和、飛行状態へ!」 「大和、浮上!現在高度100、200、……」 ぐんぐんと空へと登って行く大和。 大和を撃墜せんとネウロイが集中的にビームを叩き込む。 「シールド展開!」 「シールド展開、ようそろ!」 各所に展開されたシールドがビームを弾き、魔法力が通った主砲が敵を吹き飛ばす。 「突入部隊の脱出はどうなっている?」 「まだ、確認できていません!」 報告に唸る山本。 「なにをやっている。早くせんと間に合わなくなるぞ……」 ~ネウロイの巣 ビックコア付近~ <<少尉!まだですか!>> 迫りくるネウロイを足止めしつつ、加藤曹長が叫ぶ。 <<あと、少しだ!……よし、これで!>> 装置の設置が完了し、誘導電波が発信される。 <<雷電!任務完了だ、脱出するぞ!>> <<『了解!』>> 急いで脱出しようとする俺たち、 だが俺の機体をネウロイのコアから伸びた触手が捕らえた。 <<少尉!>> 雷電たちが助けに戻ってこようとする。 <<来るな!私にかまわずさっさと離脱しろ!>> <<そんな、少尉を置いてなど!>> <<馬鹿者! 私たちの脱出が確認できなければ、大和が『波動砲』を撃てんだろうが! 彼らの犠牲を無駄にするつもりか!?わかったらさっさと行け!!>> <<……っ!了解しました、ご武運を!>> 雷電たちが離脱していく。 <<祈られてもな、くそ、こいつ私をどうするつもりだ?>> 俺が毒づくと同時にネウロイの触手が蠢き、士翼号ごと俺をコアへ取り込んだ。 ~ヴェネチア近海上空~ <<っ!突入部隊の離脱を確認、『雷電』です!>> その報告に全員が安堵する。 しかし、聞こえてくるはずの名前が聞こえてこない。 「俺さんは!?俺さんはどうなったんですか!」 芳佳が叫んだ。同時に雷電から通信が入る。 <<突入作戦に成功、しかし俺少尉が敵に捕らわれました。 脱出を不可能と判断された少尉の命令により、我々だけが離脱しました。 俺少尉から大和に伝達。自分にかまわず『波動砲』を発射するようにとのこと!>> 『そんな!』 雷電の報告に芳佳とリーネが愕然とする <<やむをえんな……大和、『波動砲』発射態勢!>> 山本が決断する。大和の艦首付近に魔法による砲門が形成されはじめる。 「まって、撃たないで!」 「俺さんがまだなかにいるんです!」 発射を止めようとするふたりを美緒が押しとどめる。 「やめろふたりとも!危険だ、巻き込まれるぞ!」 「かまいません!」 「このままじゃ俺さんが死んじゃいます!少佐、離してください!」 「ダメだ!俺の覚悟を無駄にする気か!?」 美緒は半狂乱になるふたりを叱り付ける。 「だって、『絶対帰ってくる』っていったんです!それなのに……」 「宮藤、リーネ……」 とうとうふたりは泣き出してしまった。 美緒が途方に暮れるも、その間着々と大和は発射行程を進めていた。 「砲身形成完了、 魔法力充填率100、110、120パーセント! 総員、対ショック、対閃光防御!……『波動砲』発射!」 圧倒的な破壊力を込められた蒼い光線がネウロイのコア目掛けて突き進む。 光線は外殻を容易く打ち抜くとネウロイのコア呑み込んだ。 巣を取り巻いていた瘴気の雲が晴れ、青空が戻ってくる。 <<命中!ネウロイの反応、消えました!>> わっと勝利の歓声が沸きあがる。だが、芳佳とリーネはそうではなかった。 「帰ってくるって言ったのに……」 「俺さん……言いたいことがあるって……」 「ふたりとも……」 <<着弾地点に反応!これは士翼号だ、俺少尉の士翼号です!>> 『!?』 生きてた?その報告に顔をあげるふたり。 着弾の際に巻き起こった煙が晴れてくる。 <<!?士翼号の後方に巨大なネウロイの反応!>> そこには大きなコアを背にし、コア守るように巨大なシールドを展開した俺がいた。 ~大和 艦橋~ 「なにが起こっている?」 山本は現状を把握しようと部下に怒鳴りつける。 「ネウロイのコア前方に俺少尉の士翼号を確認。コアを守る形でシールドを展開中!」 「どういうことだ?俺少尉と通信は?」 「だめです。繋がりません!あ、攻撃来ます!」 見ると先ほどまでシールドを展開していた士翼号は左手を突き出し、魔法の砲身を展開している。 「まずい!シールド展開、最大出力!!」 大和の前方に幾重にも重なったシールドが展開される。 そこに士翼号から発射された『精霊手』が着弾した。 轟音とともに艦体が振動する。 「くそ、反撃しろ!」 大和の主砲が火を吹くが、士翼号のシールドがそれを弾いた。 再び『精霊手』が発射される。 「くっ、俺少尉を何とかしなければ攻撃が通らん。・・・・・・もはやこれまでか。」 山本があきらめ、撤退を命令しようとしたその時だった。 <<いいえ、まだです!>> ~ヴェネチア近辺 上空~ 「まだ、あきらめちゃダメです!」 「そうです!俺さんが操られてるのなら、私たちが助けます!」 そういって芳佳とリーネは魔法力が限界に近いのにも関わらず飛び出す。 「待て!お前達、危険だ!」 「いいえ、いかせてあげましょう。」 美緒が止めようとするがミーナがそれをさえぎる。 「ミーナ!?」 「あのふたりならもしかしたら、やれるかもしれないわ。 なら、あのふたりに賭けてみましょう?」 「それに、宮藤たちだけじゃないかもよ~?」 ふたりが振り向くと501のみんながそこにいた。 ~ビックコア~ 俺のもとまで飛んでいこうとする芳佳たち、 その行く手にネウロイに複製された赤い士翼号が立ちふさがる。 『邪魔、しないで!』 それらを叩き落すがそれより早く複製が行われる。 そのうち一体の複製が彼女達を撃墜しようとした。 だがその瞬間、複製は爆炎に包まれて墜ちていった。 驚いてふたりが振り向くと、 「行け、ふたりとも!行って、俺を連れ戻して来い!」 「俺少尉に、無茶をした罰をしないとね。」 美緒とミーナが 「そこまでの道は、私たちが作る!」 「お土産よろしくね~」 ゲルトとエーリカが 「今日のオマエたちはツイてるゾ!」 「芳佳ちゃんたちなら、きっとできるよ!」 エイラとサーニャが 「お前達を泣かせたんだからな、俺を一発ひっぱたく!」 「そのためにもあのお馬鹿さんをつれもどしていらっしゃい!」 「うじゅ~がんばれ芳佳、リーネ♪」 シャーリー、ペリーヌ、ルッキーニが、501のみんなが芳佳たちを援護する。 「みんな……よし、いこうリーネちゃん!」 「うん、芳佳ちゃん!」 みんなの援護をうけて、ふたりがようやく俺のもとへとたどりついた。 俺はなにも言わずに士翼号でふたりを殴りつけようとする。 ふたりはシールドでそれを受け止めると、俺に向かって叫んだ。 「おねがい!俺さん、目を覚まして!」 「いっしょに基地に帰りましょう?」 俺は何も言わない。 「俺さんがいってたように、私たちもあなたにいいたいことがあるの!」 「だから、帰ってきて!俺さん!」 そのときふっとシールドにかかる圧力が減る。士翼号が拳を納めたのだ。 士翼号がコアに向き直る、そして、 <<おい貴様、随分と愉快なことさせてくれるじゃないか!>> 俺の声がそう怒鳴りつけた。士翼号の拳が振り上げられる。 <<あまり私を、人類(ニンゲン)をナメるなぁああああああああああ!!!!!>> 圧縮されたバリアが展開され、拳が振り下ろされた。 打ち付けられたコアにヒビが入り、耳障りな悲鳴が響く。 それが限界だったのか士翼号は糸が切れた操り人形のように墜ちていく。 急いで芳佳たちが支えようとするも、重すぎて落下スピードが落ちない。 「っ駄目、ふたりだけじゃ持ち上がらない!」 <<なら、11人でやればどうかしら?>> その声と共に501のみんなが集まって士翼号を支えた。落下がとまる。 <<大和、いまだ!>> 十分な距離が取れていると見た美緒が叫ぶ。 <<『波動砲』、発射!>> 再充填された魔砲が発射される。 ふたたび空に蒼の閃光が走り、今度こそビックコアを完全に消滅させた。 ~501戦隊基地 医務室~ 「(ここは……?)」 目をさますと見慣れない天井がそこにあった。 「(ネウロイのコアに拳を叩き付けたきがしたんだが?)」 頭がボーっとしているため、前後のことがあまり思い出せない。 医務室に誰かが入ってきた。 「あ、俺さん!」 「気がついたんですね!」 「芳佳……リーネ……?俺はいったい?」 「あのあと三日も寝てたんですよ?もう目を覚まさないのかと心配しましたよ。」 「取り込まれたときに精神を操られたのが原因だろう、って軍医さんがいってました。」 そこでようやく記憶が戻った。俺はベッドから出ようとする。 「そうだ操られたんだ!……すまない、みんなに迷惑をかけた……」 大丈夫です。誰も気にしてません。といってふたりは俺をベッドに座らせた。 「すまなかった。ふたりに助けてもらったんだよな。」 「いいんですよ。俺さんが帰ってきてくれたんですから、わたしたちはそれで満足です。」 俺はその言葉を聞いて安心した。 「そうか……そうだ、帰ってきたら言うことがあったんだ。」 そういって俺は咳払いをする。 「えっと、その……私は君達よりずっと年上だし、 こんな体だし、今回みたいなことになるかもしれない。 だけど……だけど、君達のことを、ふたりとも愛しているんだ。 だから、その……」 そうやってどもってしまった俺にふたりは笑いかける。 そして、ふたり同時に俺の胸に飛び込んだ。 俺はふたりを抱きしめて言う。 「どちらかに決められない、優柔不断でみっともない男だけど……そんな私でもいいのかい?」 俺の問いに彼女たちは、 「はい、だって……」 「私たちはあなたのことが……」 『大好きなんですから♪』 と、いって俺の頬にキスをした。 ストライクウィッチーズ2~魔女と鋼鉄の巨人~ ~これにて完結~
https://w.atwiki.jp/oreqsw/pages/1137.html
―第501統合戦闘航空団ブリタニア基地近郊 海上― 穏やかな日が差す昼下がり。静かな海の上を、五つの影が駆けて行く。 「俺! ペリーヌ! 負けても数を言い訳にすんなよ!?」 その内の一つ、シャーリーが威勢よく声を張り上げる。その声に、五人の中心付近を飛行する俺が答える。 「は! そっちもせいぜい負けた後に泣くなよ!」 俺の言葉を合図に、五人の内三人が離脱する。今から五人が行おうとしているのは、変則形式の模擬戦だ。 《では、模擬戦を始めます。…あの、本当にいいんですね?》 遠くで審判役として飛行しているリーネが、最後の確認として俺とペリーヌのインカムに通信を入れる。 「ああ、構わない」 「問題ありませんわ」 即答する二人。その声に、リーネも口出しすることを止めてホイッスルを持つ。 今回の模擬戦は、俺とペリーヌのロッテ、シャーリーとルッキーニ、宮藤のケッテによる模擬戦だ。 当然、二人と三人ではほぼ勝ちは決まったようなものだ。だが、俺とペリーヌには実績がある。 ストライクウィッチーズの頂点に位置する二人を相手に、辛くもという曰く付きだが白星を上げたという実績が。 それ故このような模擬戦が罷り通っているわけだが、シャーリーには負ける要素が全く見えなかった。 (確かに、二人は強い。でも、こっちは三人。負ける要素は無い!) シャーリーが改めて勝ちを確認した瞬間、空域にリーネのホイッスルが響き渡る。 「ルッキーニ! 宮藤! 二人を包囲するぞ!」 「りょーかい!」 「りょ、了解!」 シャーリーの号令で三人は散開、数の利を活かして二人を包囲しにかかる。 対して俺とペリーヌは一瞬視線を交わすと、大きく散開。俺はそのまま正面へ、ペリーヌは上方へ。 (こちらの意図を読まれた? いや、戦術を予測しただけか) シャーリーがそう分析している間に、俺が二丁の模擬銃の銃口をシャーリーに向ける。同時に、そこから大量のペイント弾が吐き出された。 それを難なく回避した後、シャーリーはわざと速度を緩めて俺とすれ違う。 俺はそれを追って反転すると、シャーリーに再び銃口を向けた。が、それは罠だ。その後方から、ルッキーニが俺に照準を合わせる。 わざと分かりやすい目標をちらつかせ、そちらに意識を割かせる。背後を掻く戦術の一つだ。 (周りを気にしないなんて、二流以下のミスだぞ、俺?) シャーリーがほくそ笑んだ瞬間、ルッキーニが突如回避行動を取る。直前までルッキーニがいた場所を、上方からペイント弾が裂く。 ペイント弾を放ったペリーヌが急降下し、そのままルッキーニをパス。やや下方にいた宮藤に照準を合わせる。 「わっ、わっ!」 俺の動きしか見ていなかった宮藤は、咄嗟に反撃を諦めてブレイク。そこにルッキーニのカバーが入ると、ペリーヌは無理に追撃することなく離脱する。 「周りを気にしないなんて、二流以下のミスだぞ、シャーリー?」 挑発するように俺は言い放つと、急上昇。その後回頭し、急降下しながらシャーリーの頭を押さえにかかる。 「!? 舐めるな!」 海を背にするように反転すると、シャーリーは銃口を素早く俺に向ける。引き金を引く直前、シャーリーの視界に青い影が映る。 先程宮藤とルッキーニから離脱したペリーヌが、シャーリーの隙を突こうと迫っていた。 「っ!?」 一瞬の判断で回避を優先させるシャーリー。そこへ、さらにペリーヌが喰らい付く。 「シャーリー! 今行く…っ!?」 ルッキーニと宮藤が援護に向かいかけた時、突然進路を変えた俺が二人の前に立ちふさがった。 「俺! 邪魔! 宮藤は左から行って!」 「う、うん!」 二人は左右に分かれると、俺を挟撃しようと試みる。が、俺は回避機動を行うでも無く、二丁の模擬銃をそれぞれ二人に向ける。 そのまま、同時に引き金を引き絞る俺。反動など、俺の固有魔法の前には無いに等しい。 咄嗟に二人は回避、俺は特に追撃の様子は見せずに距離を取る。 「うー! 高高度ならこうはいかないのに…!」 思い通りにいかない戦況に、ルッキーニが泣き言を漏らす。 ルッキーニのストライカー、G-55チェンタウロは高高度の機動性に優れるストライカーだ。現在の高度はそれが活かせる高度ではない。 その泣き言に、意外にも俺が反応した。 「そうか? なら、その高高度戦闘を見せてもらおうか!」 そう言うと、俺は追撃を中断、急上昇していく。その動きを見たペリーヌもシャーリーへの攻撃を中止し、俺に追随する。 二人のその動きに、シャーリーは思わず眉を顰める。 (なんだ? 二人はここまで予測して、作戦を立てていたのか…?) 見たところ、ペリーヌは何を言うわけでもなく、躊躇いも無く俺に追随していった。 が、シャーリーの見たところ俺とペリーヌが作戦を立てられたのは、散開前の一瞬だけだったはずだ。 「うじゅ? 待てー! おれー!」 「待って、ルッキーニちゃん!」 ルッキーニが嬉々として、自身のストライカーの性能を存分に振るえる高度へ駆け上がってゆく。宮藤が慌ててその後を追う。 (おい、ルッキーニ…! ああもう!!) シャーリーは一度頭を振ると、同じく上昇していく。 俺がどういった考えでルッキーニの泣き言に乗ったかは分からないが、再び三人で囲んで叩くことを優先するシャーリー。 「二人とも! もう一度、囲んで叩くぞ!」 そう。冷静に三人で囲めば二人がいくら連携が取れていようが、負けることは無い。いわば、詰め将棋のようなものだ。 だが、現実はシャーリーの予想を悉く裏切る。 二人の連携は三人の包囲を内側からかき乱すだけに留まらず、的確にこちらの隙を突いてくる。 俺が狙われれば、すぐさまペリーヌがその援護に入る。ペリーヌが狙われれば、すかさず俺が援護する。 当然、三人も同じ攻撃を繰り返すだけではなく、包囲や攻撃のパターンを次々と変えていく。 高高度に上がったことで、ルッキーニの機動性も上昇している。それにより三人が採れる戦術の幅も広がるが、それすらも二人はまるで意に介さない。 (こいつら…こっちが何度攻撃のパターンを変えてもお構いなしかよ!? しかも…) 数的に不利な状況で、高度な連携で持って拮抗してくる俺とペリーヌに、シャーリーは思わず絶句する。が、問題はそれだけではない。 二人は戦術を切り替える際にも、コンタクトを取らないのだ。 まるで、初めから全て決まってる動きをなぞるように、その場に合わせた最適な機動、連携をやってのける。 強いて言うなら、時々俺とペリーヌは互いを視界に入れ、一瞬のアイコンタクトを交わすのみ。 (そんな一瞬で、ここまで高度な連携が出来るのかよ…っ) 不意に、冷たいものがシャーリーの背を伝う。まさか、こいつらは本当にこの不利な状況をひっくり返すのか、と。 「そこっ!」 ルッキーニが俺へとペイント弾の雨を降らせる。最年少であるとはいえ射撃の腕は確かな彼女が放ったペイント弾は、確実に俺へと向かっていく。 万一俺が回避したとしても、後詰には宮藤がいる。二段構えの攻撃で、確実に俺を落とす腹積もりだ。 「…ふっ!」 俺は強引にストライカーを前に突き出し急制動をかけ、さらに発生する慣性を固有魔法で全て打ち消す。 通常ではあり得ない切り返しの前に、ルッキーニの放ったペイント弾は全て空を切る。 その行動を全く予想できずに、思わず次の手を打ち損じた宮藤に、ペリーヌが迫る。 「宮藤! もっと動け!」 すかさずシャーリーがペイント弾を撒き散らしながらペリーヌを牽制。やはりペリーヌは深追いすることなく離脱していく。 「ペリーヌっ!」 ここへきて初めて、俺がペリーヌへ声を上げた。 「…はいっ!」 何かの攻撃のサインか、とシャーリーが警戒すると、突如ペリーヌが進路を変える。が、その先には、 (おいおい…あいつら正気か? ペリーヌがそのまま直進したら、俺と衝突だぞ!?) 急激に進路を変えたペリーヌの行き着く先と、俺の予想進路は重なっていた。つまり、今のままでは激突は避けられない。 (…ここにきて、連携が綻んだか? やっぱり、さっきまでの連携は無理やりだったのか) そう結論付けると、シャーリーは勝利を確信した。 「二人とも! 行くぞ!」 シャーリーがそう言う前に、ルッキーニは動いていた。宮藤が慌てて追従する。 俺とペリーヌが衝突するまで数秒も無い。が、二人はそのまま進路も変えずに、速度すら緩めずに突き進んでゆく。 (…もらった!) 二人がまさに激突する直前、シャーリーは満を持して引き金に指をかけた。ルッキーニと宮藤の表情にも勝利の確信があった。 そんな三人に、俺が一瞬振り返る。その口が僅かに動いた。 「…かかったな?」 その声が三人の耳に届く前に、俺とペリーヌが激突した。 が、次の瞬間。三人の目の前にあったのは、いつの間にか反転してシャーリーに狙いを定めるペリーヌと、その後ろで二つの銃口を宮藤とルッキーニに向ける俺の姿だった。 「チェックメイト―――」 「―――ですわ!」 三つの銃口が、それぞれ三人にペイント弾を放つ。寸前まで勝ちを確信していた三人に、回避の手立ては無かった。 着弾と同時に、戦闘空域にリーネのホイッスルが響き渡った。模擬戦は、俺とペリーヌの勝利だった。 「だー! 負けたー!」 帰り道、シャーリーが悔しそうに声を上げる。それを見て、してやったりという笑みを浮かべる俺。 「おれー! 最後何したのー!?」 未だに不満そうな顔をしたルッキーニが俺に尋ねる。確かに、最後の二人のあの動きは不自然、というより異常だった。 ルッキーニの様子に苦笑しながら、俺は説明をする。 「ペリーヌとぶつかった瞬間、その衝撃を全部相殺して、そのままペリーヌをひっくり返したんだ」 あまりに突飛な行動に、シャーリーだけでなくルッキーニまで唖然とする。 「まあ、実戦じゃ到底使えない、完全なだまし討ちだけどな」 そのまま笑い飛ばす俺に、シャーリーは重ねて質問をする。 「それより、二人はいつの間に作戦を立ててたんだ? そんな暇無かっただろ?」 その質問には、俺の隣を飛ぶペリーヌが答えた。 「作戦? そんなの、立ててませんわよ?」 「…は?」 これには、シャーリーだけではなく宮藤とルッキーニも絶句した。 「じゃ、じゃあ…どうやってあんな連携を…?」 宮藤が信じられない、といった口調で質問を重ねる。そんな宮藤に、俺は微笑みながら返す。 「ペリーヌの目を見たら、次の動きはなんとなく分かるんだ。呼吸、目線…ペリーヌのことならなんでも分かるからな。後は、それに合わせればいい」 「ちょっ…俺さん!」 俺の言葉に、ペリーヌが顔を真っ赤にする。そんな二人の様子に、シャーリーとルッキーニが互いに耳を寄せて話す。 「ねぇ、俺とペリーヌってやっぱり…」 「こりゃ、かなりあれだな…いつの間に…」 「そこっ! 何をこそこそ話しているんですのっ!?」 真っ赤な顔のまま、二人に食って掛かるペリーヌ。そんなペリーヌの様子を見て、宮藤とリーネが顔を赤くしながらこそこそと話す。 「俺さんとペリーヌさんって付き合ってたんだ…なんか、凄いね…!」 やや興奮した表情で話す宮藤に、リーネも似たような表情で勢いよく相槌を打つ。 「み、宮藤さん! リーネさん! 貴女達まで…!」 その二人の様子に気付いたペリーヌが、今度は二人に食いついた。そんな様子を見ながら、俺は苦笑する。 (やれやれ…さっきのは言い過ぎたかな?) が、俺は何一つ嘘は吐いていない。 一瞬の互いの機動に、互いの命を賭けられる。それほど、俺とペリーヌは強く信頼し合っていた。 真っ赤になりながら宮藤達に火を吹くペリーヌを見やり、穏やかな笑みを浮かべる俺。 「なぁ、見ろルッキーニ。あの俺の顔」 「うじゅー…なんでペリーヌなんだろ…」 (槍玉に挙げられると、なんかこう、くすぐったい感じがするな…) ペリーヌを習って二人に何か言い返そうか、と俺が似合わないことを考えた瞬間、 「っ!?」 突然、俺のストライカーの推力が下がり、巡航姿勢が崩れる。 「俺さん!?」 誰よりも先に異変を察知したペリーヌが俺の傍に近づく頃には、既に俺は姿勢を戻していた。 「…大丈夫、だ。ペリーヌ」 俺はペリーヌを安心させるように笑みを浮かべると、自身のストライカー、天雷に目をやる。 (…やっぱり、試作機は試作機か。無理が祟ったか…?) 俺のストライカーである天雷は、本来要求された性能を満たせずに採用されなかった機体だ。 それを、規格外の改造で実戦に耐えうる性能を持たせた為に、機体への負担が大きくなっていたのだろう。 尚且つ、俺の魔法力は人並み以上に量が多いため、当然それを流し込む機体にも負担が大きい。それらが祟ったのだろうか。 「…基地に戻ったら、扶桑に連絡を入れよう。帰投するまで、支えてもらっていいか?」 「はい…」 まだ心配そうな表情で俺を支えるペリーヌ。周りの面々も異常に気付いたのか、二人に近寄ってきた。 「ああ、すまない。少し機体が不調みたいだ。なんてことは無い」 その一言にやや安心したような空気が一同を包んだが、心配であることに変わりはない。六人は、帰投を急いだ。 ―同隊同基地 電算室― 《そうか、天雷が不調か…》 通信機の向こうで、友が首を捻る雰囲気が俺に伝わる。 「さっき整備兵と一緒に配線覗いたら、一部焦げてたぞ。おまけに、整備兵でも扱いきれないパーツもある。正直こっちではお手上げだ」 帰投してすぐに、俺は整備兵と共に天雷の整備に当たっていた。 が、友の魔改造は伊達ではなく、スペックシートを熟読した整備兵でさえ細かいところは白旗を掲げたのだ。 《まあ、天雷はちょっとばかり無茶したからなー…んじゃ、俺もそっちに行くかね。この前ロールアウトしたお前の新しい機体も持っていく手筈になってたし》 軽い調子で言う友に、少なからず俺は驚いた。 「…ちょっと待て。そんな話、初耳だぞ」 新機体の話など、俺は全く知らされていなかったのだ。 《実は一年前辺りから製造に着手してたんだが、なかなか難航しててな…あ、因みにお前に伝わってなかったのはあれだ、少将の意向だ》 友の言葉に俺は猛烈な頭痛を覚え、頭を抱える。どうせいつのもろくでも無い理由だろう、と俺は確信した。 《機体コード名、『ナイトレーベン』。お前にぴったりだな》 「それは、皮肉か?」 思わず溜息を吐く俺。 《信頼の現れだと思ってくれ。とにかく、一週間以内にお前に送り届ける。天雷の様子も、その時見るさ》 「…ああ。そっちは任せた。オーバー」 《了解。一応報告書は昨日そっちに送ったから、詳細はすぐに隊長さんに伝わると思う。オーバー》 通信機を置き、溜息を吐く俺。 (新機体ねぇ…) それも気になるが、まあそれはいいと俺は思い直し、電算室を出る。 (そういえば、今日はお茶会だったか) ストライクウィッチーズでは、ネウロイの襲撃の無い日に休息の一環としてお茶会のようなものが開かれるのだ。 (…行くか) 会場は中庭だったか、とそちらに足を向ける俺。 「…にしても、平和だな」 世界はネウロイの脅威にさらされているというのに、今この瞬間は驚くほど平和だった。 この平和を忘れないようにしよう、と俺は心に留めて中庭に向かった。 ―同隊同基地 中庭― 俺が中庭に着いた時、すでに全員がお茶に口をつけていた。 「遅いぞ俺ー!」 俺の姿を一番に認めたシャーリーが手を振る。俺もそれに返しながら、座る場所を探す。 「あっ、あの、俺さん…その、こちらに…」 ペリーヌが何やら赤面しながら俺を手招きした。隣に座れ、ということだろう。俺は素直にペリーヌの隣の椅子に腰を下ろした。 「扶桑との連絡はついたかしら?」 俺が腰を下ろしたのを確認すると、優雅にカップを持ち上げたミーナが俺に質問する。 「ええ。友がもうすぐこちらに来るそうです」 俺のその言葉に、坂本が考え込む。 「ふむ…その間にネウロイが出現しないといいが…」 「まあ、考えても仕方ありません。それに、天雷がもう使えないわけじゃないですから」 気休めとも取れる俺の言葉に坂本は苦笑すると、カップを口に運ぶ。そのうちに、リーネが席を立って俺のカップを用意してくれていた。 「どうぞ、俺さん」 「ああ、ありがとうリーネ」 いえいえ、と何やら嬉しそうに言いながら席に戻るリーネ。 「…お、美味いな。リーネが淹れてくれたのか?」 「あ、はい。ふふ、ありがとうございます」 紅茶を一口飲んだ俺の賞賛にやや上機嫌で返すリーネを見て、ペリーヌが不機嫌な様子でぼそりと呟く。 「…私も、紅茶には自信がありましてよ」 その言葉に俺はカップを置くと、空いた手をペリーヌの頭に置く。 「それなら、今度ペリーヌの淹れた紅茶も飲ませてもらうよ。だから、そんな顔しないでくれ」 そのまま手を動かして、ペリーヌの頭を撫でる俺。 俺のその行為に、ペリーヌは一瞬躊躇う素振りを見せるが、すぐに気持ち良さそうに目を細めて身を任せる。 先程の不機嫌な様子など嘘のように、 「し、仕方ありませんわ…今度、特別に淹れて差し上げるのも、やぶさかではありませんわね…」 などと言い出すペリーヌ。そんな様子に、ストライクウィッチーズのメンバーは相当な衝撃を受けた。 「な…何ダ? 俺はいつの間にペリーヌを落としたんダ…?」 「ペリーヌさん…幸せそう…」 エイラとサーニャが、やや呆然と呟く。 「あらあら…」 「ほう…男女仲良き事は良き事哉、というやつか?」 驚いたように口に手を当てるミーナと、何かがずれた発言をする坂本。 「最前線で男女の付き合いだと…? 貴様らそれでも軍人か…っ」 「あ、これ美味しー。まあまあトゥルーデ、そんな硬いこと言わなくてもいいじゃん?」 拳を握り締めて嘆くバルクホルンを、スコーンをつまみながらいさめるハルトマン。 「うじゅ…本当に、なんでペリーヌなんだろ…」 「なあルッキーニ。扶桑には『ライクライク』って諺があるらしいぞ」 珍しく真剣な表情で首を傾げるルッキーニに、シャーリーが間違ってはいないが何処か間違った知識を披露する。 「わぁ…ペリーヌさんいいなぁ…」 「私もあんな素敵な彼氏欲しいな…」 リーネと宮藤が、それぞれ素直な感想を漏らす。 そんな面々の視線に気がついたペリーヌは慌てて俺の手を振り払うと、憮然とした表情を作ってそっぽを向く。 だが、そんな表情を作っても、頬がほんのり赤く染まっているのが取り繕った表情を台無しにしている。 俺だけでなく、ペリーヌ以外の全員が苦笑する。その様子に、ペリーヌがさらに顔を真っ赤にして立ち上がる。 「もう、なんなんですのー!」 そんなペリーヌの様子に、会場に笑顔が零れる。思わず、俺の口元が緩む。 (…こんな時間が、ずっと続けばいいのにな) 再びカップに口を付けながら物思いに耽る俺に、ハルトマンがすっと近づく。 「ねぇ俺。ペリーヌの何処が好きなの?」 ペリーヌが聞いていればさらに白熱しそうな質問だが、そのペリーヌは宮藤達に食って掛かるのに必死で、どうやら耳に入らなかったらしい。 「ん…そうだな。強いて言うなら…」 ふとそこで言葉を切り、俺はペリーヌを見た。あの夜交わした言葉が俺の胸に去来し、不意に胸が温かくなる。 「…全部、かな?」 その答えにハルトマンは苦虫を噛み潰したような表情で、 「あー…なんか、私の中の俺像が崩れてく…」 と言い残してすごすごと自分の席に戻る。そんなハルトマンの様子に俺は首を傾げる。 ふと俺がペリーヌに再び視線を転じれば、ペリーヌは全員に囲まれて質問責めに遭っていた。 「ね、ね! ペリーヌは俺の何処が好きなの!?」 「俺さんとはどこまで進んだんですか!?」 「そういえばこの前ペリーヌさん、朝俺さんの部屋から…ま、まさかもうあんなことやこんなことまで…っ!?」 「え、あ、あの、ちょっと…その…って宮藤さん! 貴女何を考えていますの!?」 段々と激しさを増していく質問責めに、とうとう耐えられなくなったペリーヌは俺の方を向くと、 「お、俺さん! 貴方からも何か言ってください!」 恥ずかしさのあまり今にも泣きそうな表情で懇願する。そんなペリーヌの様子に俺は一つ苦笑すると、席を立って好奇の視線に飛び込む。 (さて、どうしたものかな…) 俺とペリーヌが年頃の少女らしい好奇心に振り回される中、二人の関係が隊で公認されることになったお茶会は、幕を下ろしたのだった。 ―同隊同基地 俺自室― 「うー…」 お茶会の時の恥ずかしさが未だに尾を引いているのか、夜になってからもペリーヌはこの調子だった。 「まあ、いいじゃないか別に。特に関係に口出されることも無かったんだしさ」 俺は椅子に座って、苦笑する。ペリーヌはほんのりと赤く染まった顔のまま、ベッドの上で俺の枕を抱いている。 「それは…そうですが…」 ぎゅっと枕を抱きしめ、そうぽつりと言うペリーヌ。 最近は、俺のベッドの上がペリーヌの定位置になってきている。寝る時も、自室に帰っていない。 「…ですが、恥ずかしいものは恥ずかしいです…」 そのまま枕に顔を埋めて、顔を隠してしまうペリーヌ。そんなペリーヌに俺は微笑むと、椅子から腰を浮かせて、ペリーヌの隣に腰を下ろす。 ペリーヌはそれに気付いて顔を上げると、俺の肩に頭を預ける。 「俺さん…私、今とても幸せですわ」 「…ああ」 俺の手と、ペリーヌの手が重なる。 「…ですが、それだけ不安でもありますの…私は、まだ私の責務を果たせていないというのに…」 ぎゅっ、と。俺の手が強く握られる。 「それでも私は、幸せになってもよろしかったんですの…?」 「いいに、決まってる」 即答だった。思わず、ペリーヌは俺の顔を見る。 「あの時、ペリーヌは言ってくれたよな。俺を支えてくれるって」 そう言って、俺はペリーヌと向き合い、髪を優しく撫でる。 「俺だって、ペリーヌを支えたい。だから、その責務を俺にも分けてくれ。もう独りだけで抱えなくていいんだ」 最後に俺は微笑むと、 「ペリーヌは、俺の二番機だろ?」 あ…、とペリーヌの思考が緩やかに止まる。 (そう…でしたわね…私は、俺さんの…) 一度ペリーヌは俯くと、すぐにその顔を上げる。一点の曇りの無い微笑みを携えて。 「…当然ですわ」 二人の間に、笑顔が溢れた。 月明かりの差す、明かりの絶えた部屋で、二人は今日も同じベッドに横たわっていた。 「ふぅ…やっぱり落ち着きますわ…」 俺の左手を枕にし、落ち着いた様子で俺に擦り寄るペリーヌ。 「まあ、いいんだけどな…」 数日前から続くこんな状況に、俺は自分が何かとんでもない過ちを犯してるのではないか、という気さえしてくる。 (ペリーヌが幸せそうならいいか…) そう結論付けて、もう色々と考えることを放棄する俺。 「…そういえば俺さん」 「ん?」 寝る前、ということなので眼鏡を外したペリーヌがふと俺を見上げる。 「今日、貴方は私のことなら何でも分かる、と仰いましたわね?」 「…ああ、そんなこと言ったな」 俺がそう返すと、ペリーヌは悪戯っぽく微笑むと、 「では、今私が何を考えているか当然お分かりですよね…?」 う、と俺が詰まる。 確かに空戦時ならば、言葉を交わすことなくペリーヌの意思を正確に汲み取ることができた。 (ど、どうしよう…さっぱり分からない…) が、今は全くペリーヌの考えが読み取れない。期待を表情一杯に表すペリーヌから、必死に目を逸らして考える俺。 「…分かりませんの?」 しゅん、と擬音が聞こえてきそうなほどにうな垂れるペリーヌ。 そんなペリーヌに、俺はわたわたと慌てるが、 「う…あ、その…ごめん」 俺も同じく、うな垂れるしか無かった。そうしている内に、ペリーヌの肩が震え始める。 (う…泣かせた、か?) ペリーヌの涙に、俺は極端に弱い。どうにかしようと必死に言葉を探す俺に、ペリーヌは顔を上げた。 「ふっ…ふふっ…俺さん、何を真に受けていますの?」 悪戯が成功した子どものように、くすくすと笑うペリーヌ。 肩が震えていたのは、含み笑いのせいだったようだ。それにようやく気付いた俺は、がっくりと力が抜けた。 「…勘弁してくれ…」 「ふふ、でも俺さん、こうすれば私の考えていること、少しは伝わるんじゃなくて?」 まだ笑いながらもペリーヌは言うと、俺を真正面から見据えて、目を閉じる。 (えっと…これは、もしかして…) 「…まだ分からないんですの?」 そのまま、ペリーヌが俺に聞いてくる。俺の顔は、既に真っ赤になっていた。 「いや…その…そういうこと、か?」 「そういうことです。さ、俺さん。…ください」 その一言で、ペリーヌが何を求めているかは決定的だった。 (でも…いや、流石に…ええい!) 覚悟を決めた俺は、ペリーヌの顔にゆっくりと顔を近づけ、 「…んっ」 二人の唇の距離が、一瞬だけゼロになり、そして離れた。 「…ふふ」 赤面しながらも、幸せそうな表情を浮かべるペリーヌ。俺も同じく顔から火が出そうな状態だが、不思議と満ち足りた気分だった。 (…でも、恥ずかしいな…) (やっぱり、恥ずかしいですわ…) 互いに赤面したまま、同じようなことを考える二人。 俺が恥ずかしさに負けて、ほんの少しだけペリーヌから離れると、 「あ…」 先程までの赤面は鳴りを潜め、俺の寝巻きをぎゅっと掴むペリーヌ。 「そ、その、俺さん…眼鏡が無いので、離れると不安なんです…出来れば、このままで…」 やや俯き加減でぽつりと話しかけて来るペリーヌに、離れようとしていた俺はゆっくりと位置を戻す。 「これで大丈夫か?」 「ありがとうございます…ふぁ…」 俺が再び近づいたことで安心したのか、ペリーヌは小さく欠伸を漏らした。 「ん…そろそろ寝るか?」 俺がそう聞くと、ペリーヌは小さく頷いた。 「おやすみなさい、俺さん…」 「ああ。おやすみ、ペリーヌ」 そう言い合って、程なくしてペリーヌは意識を手放した。 (…ああ。こんなに、穏やかな日々が続けばいいのにな) もちろん、それは叶わない願いだと、俺は気付いている。それが許されない立場にいることも。 (でも…この瞬間だけは…) ペリーヌを起こさないように、ゆっくりとその体を抱きしめる俺。 (…いい、よな) その温もりを愛しく感じながら、静かに俺もまどろみに身を任せていった。 ―同隊同基地 食堂― 翌朝、俺とペリーヌは並んで食堂に入った。 「おはよう」 「おはようございます」 すでにハルトマンを除く全員が着席していて、俺とペリーヌに挨拶を返した。 二人が並んで着席すると、すでに二人の前には宮藤が作ったと思われる扶桑料理が並んでいた。 「おはよー…」 ハルトマンも食堂に入り、十二人全員が揃う。今日は、夜間のシフトが無かったサーニャの姿もある。 「揃ったわね? それでは、いただきます」 ミーナの号令に、全員が復唱してから箸を手に取る。 「またこの腐った豆ですの…」 ペリーヌがうんざりしたように言う。 「納豆は健康にいいんですって! 俺さんも食べてますよ?」 「ん?」 納豆をちょうど口に運んでいた俺が、宮藤のその言葉に動きを止める。 「い、いかに、俺さんの好物とはいえ…これを口に入れるのは…っ」 納豆を箸で持ち上げながら、何やら葛藤を始めるペリーヌ。そんな様子を、隊の全員が微笑ましく見ている。 「ちょっ、皆さん! 私をそんな目で見ないでくださいましー!!」 その雰囲気に気付いたペリーヌが、気恥ずかしさ全開といった様子で叫ぶ。食堂が、爆笑に包まれる。 だが、そんな穏やかな雰囲気は、突如突き崩された。 基地内に、けたたましく警報が鳴り響く。それが意味するものは、一つ。 「ネウロイ…!」 全員の表情が、一斉に軍人のそれへと変貌する。 「ネウロイ多数、基地に急接近中…ステルス性を備えたタイプと推定します」 サーニャが固有魔法である魔導針を発現させ、敵状を報告する。その言葉にミーナは頷くと、全員の顔を見渡して告げる。 「総員、出撃準備! ネウロイの迎撃に当たります!」 「了解!」 一斉に食堂から駆け出していくウィッチ達。そんな中、同じく駆け出そうとした俺のコートの袖を、ペリーヌが掴む。 「…大丈夫ですわよね?」 心配そうな表情で俺を見上げるペリーヌ。俺は安心させるようにはっきりと頷く。 「大丈夫だ。全力を出すつもりは無い。それより、急ごう」 「…はい!」 俺の言葉にとりあえずペリーヌは安心すると、俺に続いて食堂から駆け出した。 最終話 『想い、響け』中編 へ
https://w.atwiki.jp/vip_witches/pages/458.html
夢の中で、俺は魔力を持たない人たちをシールドで守っていた。 これは、扶桑海事変の頃の夢だろう。 扶桑海事変、それは俺が初めてストライカーを履いた原因だ。 別に好きこのんで履いた訳じゃない、俺の村がネウロイに襲われ。 その村で、魔力を持っていたのは俺一人。 そして俺以外のウィッチなどいないのに、村の自警団が犯罪者威圧のために購入していた 旧式の九五式戦闘脚。 そのストライカーを履いて、村の人たちを守った。 でも、それ以降村の人たちとは妙に距離が広がってしまった。 当たり前なのかもしれない。 12歳なんて、周りの大人達から見れば子供も良いところだ。 しかし、その力は大人など寄せ付けないものだ。 魔力さえなければ、そんな言葉を大人達からはよく言っていた。 俺がその言葉を聞いているとも知らず。 彼らは好き放題言っている、ウィッチなんて気持ち悪いだとか、もしかしたら ネウロイなんじゃないかとか、今なら一笑して終わりだが、このころはかなり堪えた。 しばらくして、夢の場面が変わる。 まるで逃げるように両親と共に別のところへ移り住んだときだろう。 そして初めて、ヒガシと会ったときの頃か。 だが、なんだか違和感がある。 いや、違和感だらけだ。 まずヒガシが出てくるべき所に出てこない、フジもいない。 そして代わりにいるのは俺にとってウィッチを嫌う大人達の代表者、 つまり故郷で俺に好き勝手を言っていた奴ら。 なんて悪夢、第一あそこでヒガシ達に会っていなかったら、今の俺はいない。 まあいい、悪夢だと分かった以上、この夢に居続ける意味はない。 なら……強制的に終わらせてしまえ。 高台へと移動する、ずっと階段を上っているのに息が切れない。 現実でもこうならないだろうか? 屋上に着いた、そしてフェンスを乗り越え飛び降りる。 飛び降りの感覚は、戦闘脚の速度を稼ぐ急降下、ダイブに似ている。 地面が近づく、近づく、近づく。 もう目の前だ。 そのまま夢の中の俺は、たたきつけられ破裂した。 目を覚ます。 最低な夢だ、あのときヒガシに会えなかったらなんて考えたくもない。 もし会えていなければ、戦えない人たちの代わりに闘うなんてこと、やろうとは思わない。 それよりも…………ここはどこだろう? 記憶はフランチェスカ・ルッキーニが大和を沈めたところでとぎれている。 この鼻につく独特の臭いは、消毒液の臭いだ。 と言うことは、どこかの医務室か。 まったく揺れがないところを察するにどうやら艦船ではないようだ。 であれば、アドリアから一番近い基地は………ストライクウィッチーズの基地だな。 おそらくはそこだろう。 時刻は午前7時頃、既に夜は明けている。 しばらくすれば医務官も来ることだろう。 出歩けるほど体力は回復していない、と言うより体を起こせない。 つまりここで待っているほか無いと言うことだ。 しかし、朝とはいえ患者が居るのに医務官が居ないとは、 アフリカでは考えられないことだ。 「アフリカ………か」 アフリカに行って俺がやったことは口喧嘩だけ。 しかも決着はついていないときたもんだ。 もっとも、決着などついたところでなんだというのか。 まあ、スエズ解放作戦は成功し終えていたんだ。 あとはあそこを維持するだけ、と言うか。 むしろ任務が占領維持だからこそ、リハビリ代わりにあそこに飛ばされたのだろう。 いや、リハビリすら望まれていないのかもしれない。 なぜなら、俺はあそこにウィッチとして派遣されたわけではなく、 ヒガシを補佐する、飛ぶことを許されない副官として派遣されただけだった。 納得できるわけがなかった。 俺はウィッチなのだから。 一ヶ月前、アフリカ ストームウィッチーズの戦闘飛行隊長、加東圭子は己の目を疑った。 扶桑本国から、私の副官が送られてくると言う話は聞いていた。 しかし、副官の名前は聞いていなかった。 本人から聞くのが礼儀であると思っていたからだ。 だが、それが間違いであることに気付いたのは、 二式大艇から降り立った副官本人の顔を見たときだった。 「なんで………」 なんの意味も持たない、まさしく無為な言葉が唇からこぼれる。 しかし、彼はその言葉に反応した。 「それはこちらが聞きたいものだ、ヒガシ」 心底、不機嫌そうに、 そしてウィッチではなく、ただの士官として派遣されたことが理解出来ないと 言わんばかりの顔で。 圭子はまだ固まったままだ、言葉を紡ぐことが出来ない。 その様を見て、彼はため息をついた。 「ヒガシ、着任の挨拶はしないのか?」 この言葉で我に返ったのか、それとも口を突いて言葉が出ただけか、加東はようやく 口を開いた。 「仮にも着任の挨拶をするのに上官をあだ名で呼ぶなんてしないように」 「了解だ加東少尉」 「今は少佐」 「ヒガシが佐官とは世も末だな」 「それどういう意味?」 なぜだろう、特におかしいわけでもないのに耐えきれない、既にお互い笑いを堪えている。 二人は同時に吹き出し、笑顔のまま言葉を交わしていく。 「久しぶりだな、ヒガシ」 「ええ本当に、何年ぶり?」 「そうだなあ、結局海事変以降一度も顔は合わせてないからな、8年ぶりじゃないか?」 「やっぱりそうなるのかな、……それにしても」 圭子が彼の全身をまじまじと見つめ、頷いた。 「なんだよ、なんかついてるか?」 「ああ、そうじゃないよ、大きくなったなぁって思って」 「8年も会ってなきゃ身長だって伸びるさ、成長期に入る前だったし」 「私と変わらなかったのになー」 「むしろ俺のほうが小さかったはずだ」 「顔と生意気な態度は変わってないのに」 「顔はちょっと男前になったろ、そしてヒガシの俺に対する評価はよく分かった」 「評価すべきところは評価してるんだから良いじゃない」 そういうと、圭子は俺の頭に手を伸ばそうとした。 海事変の時、俺の頭を圭子は何度か撫でている。 たいてい、無事に帰還したときのことだ。 だが、時間とは残酷である。 180を優に超える身長になった俺の頭まで圭子の手は届かない、 それを見て俺は圭子の手が届く所まで頭を下げたのだが。 「ちょっと待ちなさい」 なぜか圭子は怒っていた。 「なんだよ、何を怒ってるんだ?」 その返答が、なおさら圭子を怒らせる。 「怒ってないわよ」 どう見ても怒っている。 だが、それを言えば更に怒らせるだけだ。 まあいい気が済むまでやりなさい、と、どこか父親のような目線になりつつ、 仕方なく直立し、圭子が頭を撫でるのを待つ。 だが、ここで少々誤算があった。 俺の頭を撫でようと、圭子はつま先立ちになりながら俺の肩に手をかけ 半ば寄りかかるようになっている。 他人から見れば、そう、圭子が俺にキスをねだっているようにしか見えない。 そして、折悪くそこに友人をからかうのが大好きな女性が通りかかった。 「白昼堂々恋人にキスをおねだりだなんて、ケイもやるねぇ」 「………」 そんなこと思いもよらなかったのか、 圭子は自分達が他人にどう見られているか正確に把握すると、 「~~~~~!!!」 言葉にならない悲鳴を上げ、真っ赤になりながら俺を突き飛ばした。 あれからヒガシに基地の案内をしてもらっているのだが、 こちらはさっきのことが納得できない。 相手の意見を優先した結果、突き飛ばされました。 そんなの冗談じゃない、こちらにも言いたいことがある。 「ヒガシ、さっきのあれはちょっと酷いんじゃないか?」 「……………」 しかし俺を突き飛ばして以降、ヒガシはこちらを睨むだけで 俺の言葉に聞く耳を持とうとしない。 さっきの事件に関しては、二人の不注意が原因であって、 俺一人のせいではないと思うんだが。 いや、そんなことは関係ないのか、問題は誰に見られたのか、ということなのだろう。 俺が、自身の中で答えを探している間、圭子はある人物にずっと口止めをしていた。 「ハンナ、絶対にみんなには言わないでよね」 「こんな面白いことを黙っていられるかどうか……ああ不安だ♪」 女性らしい見事なプロポーション、近くにいるだけでおぼれそうになるほどの圧倒的な風格。 通りかかった女性の正体、それは別名アフリカの星とも呼ばれる天才ウィッチ、 ハンナ・ユスティーナ・ヴァーリア・ロザリンド・ジークリンデ・マルセイユだった。 言うまでもないだろうがさっきからずっと人の悪い笑みを浮かべている。 そして圭子の言うみんなとは一体誰のことかは分からないが、 確実にその全員に言いふらすだろうことの断言は出来よう。 阻止するにはどうすればいいのか、待てよ……何もやましいことをしていたわけではない、 ならば本当のことを言っても問題はないのでは? 俺はその間違った答えをそのまま口に出す。 「いや特に面白いことでもない、ヒガシが俺の頭を撫でようとしていただけだ」 圭子は頭を抱えた。 もしや今のはフォローのつもりか? あり得ない、逆効果以外のなんだというのか。 25歳の女が20歳の男の頭を撫でるなんて、仲むつまじいとしか言えないではないか。 今のでなおさら興味を持ったのだろう、マルセイユが圭子に耳打ちした。 「ケイ、なんだかとっても面白そうだから洗いざらいしゃべってもらおう、 そうだな彼の案内が終わったら宮殿に来ることOK?」 マルセイユが耳打ちするをするというのは珍しいことなのだが、 どこかの阿呆が言ったことをいかにしてごまかそうか、頭をフル回転させている圭子が それに気付くだけの余裕はなかった。 宮殿、この基地ではその二文字を言うだけで誰のテントのことか伝わるという。 あながち間違いでないのが怖いところだ。 そして、その宮殿では、私つまり、加東圭子が何人ものウィッチに問いつめられていた。 聞かれる内容はほとんど同じ内容だ。 「あの男との関係は?」 「どこまで進んでるの?」 「もしかして……」 これら全ての質問が何度繰り返されたことか……、そしてその全てに私は『否』 と答えているのだが、こちらの言うことに耳を傾けようとするものは誰一人いない。 なんだろうこれ、私ってこの戦闘飛行隊の隊長じゃなかったっけ? その私の言うことに誰一人耳を傾けないってどういうことなの………。 怒っているような、それでいて、半ば泣きそうな顔をしている圭子をマルセイユは にやつきながら見ている。 「(覚えてなさいよハンナ)」 恨めしげに圭子はマルセイユを見るが、いっこうに堪えた様子はない それどころか、問題の中心に居座るもう一人に声をかけている。 「ほっといていいのか色男?」 「何がだ?」 「そりゃ、恋人を助けなくて良いのかってことさ」 恋人、それは一体誰と誰のことを指しているのか? 俺とヒガシが恋人だという事なら見当違いも良いところだ。 第一、あちらはこちらのことを弟のようにかわいがっているだけで、 恋愛対象としては見ていないのだ。 だからこそ断言できる。 「恋人じゃないよ、戦友……いやたったの一ヶ月しか一緒に飛べなかったから、 それすら怪しいもんだ」 「一ヶ月だって?扶桑海事変の期間はもっと長かっただろう」 その通りだ、でもこちらにだって言えない事情がある。 「いろいろとあったのさ、……そういえばまだ名乗っていなかったか、扶桑陸軍所属の 俺中尉だ、明日から書類を押しつける事の可能な相手が増えるぞ、よろしくアフリカの星」 「なんだ、私が名乗る意味が無いじゃないか」 「ウィッチであなたのことを知らない奴がいるのか?」 「それもそうか」 ごく自然に答える辺り嫌味がない、これがマルセイユだ。 「ああそうだ」 マルセイユは何かを思い出したのか、いきなりこちらを向いてこう言いはなった。 「悪いがサインはしない主義なんだ」 そういえば聞いたことがある、マルセイユ直筆のサインはとても希少でオークションで 30ポンドはくだらないだろうという話を。 何ともばかばかしい話だ、 「本人が目の前にいるのにサインをほしがる奴なんているのか?」 思ったことをつい言葉に出してしまった。 それを聞いたマルセイユはこちらをじっと見つめ、口角をゆっくりつり上げた。 「もっともな意見だな、私もその考え方は嫌いじゃない」 「それはどうも、しかしそろそろアレは止めた方が良いと思うんだが?」 俺はいい加減ぶち切れそうになっているヒガシを指さしたが、 マルセイユは笑いながら見ているだけのようだ。 まあいいさ、俺はもう知らない。 そう決めた十分後、俺はなぜかヒガシの前で土下座していた。 なんて不幸、踏んだり蹴ったりとはまさしくこのことなのだろう。 そして土下座騒ぎが収まり俺たちが帰ったあと、 天幕には、マルセイユ、ライーサ、圭子の三人が残った。 「それで?」 マルセイユが圭子に向けて一言、それが何を求めているのか圭子には分かっている。 ウィッチというものは魔力のある人間を見抜くものだ。 であれば、先ほど『書類を押しつける事の可能な相手が増える』 と、あいつが言ったのは失言以外のなにものでもない。 魔力があれば、他にやることなどアフリカではいくらでもあるのだから。 ああなんて割に合わない。 それこそ洗いざらいしゃべるしかないのだろうか。 圭子は短くため息をつくと、決意したようにマルセイユを見つめた。 「分かったわよ、今から、私が知る限りの俺の経歴を話す ……でもこれは絶対に他言無用よ?」 二人は静かに頷いた。 海事変の俺1
https://w.atwiki.jp/vip_witches/pages/1525.html
アレハ誰ダ 九話 空を埋め尽くす、無数の黒い真珠。 放たれる光線は、まるで血の雨。 「わっ!」 芳佳はシールドで光線を反らした。 が、その勢いの強さに押し戻され、本体らしきネウロイには少しも近付けない。 負けじと撃ち返す機関銃の弾は、あまり効果をあげなかった。 「前に出過ぎるな、宮藤。集中攻撃を受けるぞ」 「は、はい」 空は銃声に満ちていた。耳が麻痺してしまいそうだった。 ミーナも、エーリカも、バルクホルンも、他の仲間達も、緊迫した表情を顔に貼り付け、引き金から指を離さない。 銃口から吐き出される弾丸を壁として、黒い真珠の群れの接近をどうにか防いでいた。 くり抜かれた無数の目玉を相手にしているかのようで、気分の悪さは普段の倍増しである。 「もー、何なのこいつら! 全然減らないじゃん!」 「弱音を吐くなハルトマン!」 呻くエーリカに、バルクホルンが檄を飛ばす。 その間も、二人は銃を撃ち続けていた。 真珠、それ自体は大して強くはない。銃弾の一発で風船のように破裂してしまう。 だが、二枚貝のネウロイは、瞬く間に減った分を補充する。 まるで、浜辺の砂を一粒一粒取り除いているかのようだった。 「このままじゃ、こっちが先にバテるぞ……っと!」 シャーリーが五条の光線をシールドで反らす。 息をつく間もなく、六、七、八と続く。 シャーリーはすかさず撃ち返した。 しかしブローニング自動小銃に、この状況を打破するような力はなかった。 ペリーヌは歯噛みしていた。 彼女の固有魔法であるトネールは、広範囲に渡ってネウロイに電撃を浴びせることができる。 黒い真珠の群れを、ある程度であれば一掃できるだろう。 だが、肝心の二枚貝のネウロイには、きっと届かない。 距離が離れていることもあるが、何より障害物が多過ぎる。 仮に届いたとして、表面を炙ることさえ叶うまい。 焦れているのは、エーリカも同じだった。 得意のシュトルムを使って、一気に敵の壁を突破し決着をつけたい。 だが、安易な攻撃は憚られた。 黒い真珠の群を挟んで対峙する二枚貝のネウロイは、初めて戦う敵である。 その能力が、ただ小型のネウロイを生産するだけとは限らない。 接近した途端、何かとんでもない隠し玉を披露する可能性がある。 例えそうでなくとも、ネウロイが見た目に違わぬ防御力を持ち、こちらの攻撃が通じなかった場合。 黒い悪魔としてその名を轟かせるエーリカとはいえ、囲まれて集中砲火は御免こうむる。 今でさえ手一杯なのだから、仲間の援護はあまり期待できない。 少しずつでも距離を縮めて、全員で攻撃する。 攻めるチャンスが来るまでは、耐え忍ぶしかない。 「あっちは、あんなことになっちゃってるし」 撃ち続けながら、エーリカは二枚貝のネウロイの傍に浮かぶ、巨大な黒い球体に視線を飛ばした。 それは黒い真珠が固まって作られたものであり、時折、隙間から赤い光が漏れ出す。 黒い球体は檻と処刑場を兼ねたものであり、赤い光は閉じ込めた敵への攻撃であると考えるのは、そう難しいことではない。 そして、中にいるのは――――― 「やっぱり、あそこにいるのって………俺さん、ですよね」 何時の間にか、芳佳の緊迫した顔が隣にあった。 「だと思う。ちょっと、やばいかもね」 圧倒的な戦闘能力を持つ俺でさえ、大多数には敵わないということか。 助けに行きたい、という思いがエーリカの胸を突く。 しかし、こちらが助けを請いたい状況で、それは現実的ではない。 だが、それはエーリカだけの意見だった。 芳佳は唇を横一文字に引き結ぶと、シールドを前方に展開。 止める間もなく、黒い球体目掛けて突進した。 「………へ?」 エーリカは場にそぐわぬ間の抜けた声を上げ、丸くした目で遠ざかる芳佳を見送った。 (さあ、どうしてくれよう) 外の激戦とは裏腹に、球体の内部にいる俺は、それほど焦ってはいなかった。 二十年間、ずっと戦い続けてきた。 戦い以外のことは忘れてしまうほどに。 敵に囲まれ、集中攻撃を受ける―――両手の指を折っても足りない。 もっとも、ここまで徹底的なのは、あまりなかったが。 四方八方から放たれるビームが超能力のバリアを破るまでには、まだまだ余裕があった。 この状態からの反撃も、そう難しいことではない。 にもかかわらず、敵による拘束を甘んじて受けているのは、俺の楽しみのためだった。 デーモンにとってデビルマンにとって、戦いとは喜びだ。活力だ。 生きるために戦い、戦うために生きる。 どこに在ろうとも、その本質だけは変わらない。 少しはまともな戦い――要するに、血を流しあえる――ができそうな相手を、簡単に始末してしまうのは、あまりにも勿体なかった。 球体の外で、ストライクウィッチーズが激しい戦いを繰り広げていることは知っていたが、大して興味はない。 こっちはこっちの好きなようにやるだけだ。 (……まあ、そうだな。あの宮藤芳佳が死ぬ前には終わらせるか) 赤い光のシャワーを弾きながら、俺はそう思案する。 その時。 「きゃあああっ!!」 耳を劈く悲鳴に、俺は振り返った。 直後、虚空に浮かぶ魔法陣に、黒い真珠の壁が一時的に破られる。 入り込んだ日の光に頼るまでもなく、俺の複眼は飛び込んできた芳佳の姿を捉えていた。 反射的に彼女の小さな体を受け止める。 唖然とする俺の顔を見上げ、芳佳はぱっと笑顔の花を咲かせた。 「あ……俺さん、無事だったんですね。助けに来ましたよ!」 その言葉を聞いて、俺は足が八本ある人間を見るかのような目で、芳佳を見た。 俺の聴覚が正常に働いており、なおかつ芳佳の口が真実のみを紡いでいた場合、彼女は俺を助けに来たということになる。 一丁の機関銃と、人並み外れて強力とは聞いているシールドだけを頼りに。 この大量過ぎる黒い真珠と、あの巨大な二枚貝のネウロイを相手にするには、少々心許ない武装だ。 「なんというか、な」 俺は慎重に言葉を選んだが、元々弁の立つ方ではない。 悩んだ末、直球を投げることにした。 「あんた、馬鹿だろう」 「ふぇっ!?」 「俺を助ける? その豆鉄砲を使ってか? それとも、今みたいに突っ込んでみるか?」 「あう……」 芳佳が空けた穴は、とうの昔に新たに補充された黒い真珠で塞がれている。 抜群のチームワークだ。それぞれに意思があるのか、二枚貝のネウロイが指示を出しているのかは知らないが。 例え、俺が誰かの助けを必要としていたとして、芳佳に出来ることがあるとは到底思えなかった。 (………それでも) 俺は、今にも泣き出しそうな顔の芳佳を、改めて見た。 実に弱そうだ。 筋肉もついておらず、兵士としての練度も、素人に毛が生えた程度に違いない。 強靭なるデビルマンにとっては、小さな羽虫のように貧弱な生物である。 ………それでも。 芳佳は、来たのだ。俺を助けるために。 弱いくせに、敵の群の中に、突っ込んできたのだ。 二人を包む球体の内部が、赤い光を帯び始める。 腹の中に子犬が一匹追加されたところで、予定に変更はないようだ。 四方八方からのビームで貫き、溶かし、殺す。 だが―――― 「ど、どうしよう……」 怯える芳佳とは対照的に、俺は莞爾として笑った。 口内にずらりと並んだ牙のせいで、酷く獰猛な笑みである。 「どうもこうも、道は一つしかない」 ――――そういうのは、俺の得意技でもある。 「やられる前に、こっちがやるんだ」 敵の群の中に突っ込んでいった芳佳を、どう助けるか。 坂本美緒がその事について悩む前に、問題は解決された。 きん。 きん。 きん。 隙間見る黒い球体から、澄んだ音が響く。 美緒は、この音に聞き覚えがあった。 とても身近な音だ。 「そうだ、これは」 鋭い刃に切り裂かれるネウロイが奏でる音楽。 鳴り止むと同時に、球体は微塵切りにされた黒い真珠の欠片と化し、塵と消える。 その中に佇む青い影。 背には蝶や蛾を思わせる羽。天に向かって伸びる櫛状の触角。 俺の両手から、その延長のように、長く鋭い氷の剣が生えていた。 半透明の刀身が、陽光を浴びて壮絶に輝く。 芳佳は俺の背中にしがみ付いていた。 今この場で、もっとも安全な場所かもしれない。 美緒は素直にそう思った。 危機的状況から脱出したとはいえ、戦いはまだ終わっていない。 数えるのも馬鹿らしい量の黒い真珠が動き出し、再び俺と芳佳を押し包もうとする。 「みんな、二人の援護を……!」 ミーナが指示を出すよりも早く、俺は動き出していた。 「生きて帰りたいなら、しっかり掴まっていろ」 「は、はいっ!」 答える芳佳に顎を引き………俺は、吠えた。 両手に生えた氷の刃が砕け散る。 ―――――おおおおおおおっ!! 断末魔の咆哮でも、哀惜の叫びでもない。 長く尾を引くそれは、戦いの歌だった。 戦の始まりを告げる法螺貝だ。 ―――――おおおおおおおっ!! 大気が揺れる。世界が揺れる。 美緒の鼓膜を震わせる咆哮は、歓喜に満ちていた。 「………っ」 美緒は、今すぐにでも、扶桑刀を片手にネウロイに飛び掛かりたい思いに駆られた。 そうするべきだ、と頭の中で声がする。 体内に流れる血が焼けつくように熱い。 彼女の理性の及ばない部分が、異様なまでに興奮していた。 知らず、口角が釣り上がる。 異界より来たという、魔獣の咆哮。 それを美しいと思う気持ちを、美緒はどうしても抑えることができなかった。 俺に殺到する黒い真珠。その数は百を越える。 次の瞬間、全てがほぼ同時に、氷の矢に射抜かれた。 まるで竜の体を覆う鱗のように、無数の氷の矢が俺を取り巻いている。 それは次々と射出され、その分、黒い真珠が減ってゆく。 黒い真珠が赤い光線を撃ち返した。 不可視のバリアに撥ねられ反らされ、返って来た氷の矢により塵と化す。 黒い真珠も、氷の矢も、減った分だけ補充された。 終わりの見えない、壮絶な撃ち合いが繰り広げられる。 そこに、ストライクウィッチーズは介入することができなかった。 下手に動けば、攻撃の嵐に飲み込まれる恐れがある。 氷の矢を撃つ俺は実に楽しげで、射線上に蝶が舞い込んだところで気にはしないだろう。 背中で震える芳佳を、邪魔と放り捨てないのが関の山か。 その時、二枚貝のネウロイに変化が起きた。 殻の奥底に蟠る闇の中から、赤い光が漏れ始めたのだ。 それは一秒ごとに膨れ上がり、今にも破裂してしまいそうだった。 何か、大きな攻撃が来る。 長年の戦いで培われた、美緒の勘がそう告げる。 「いいとも。俺も、そろそろ終わりにしようと思っていたところだ」 それからは、あっという間だった。 俺と芳佳の姿が、まるで煙のように消えた。 美緒は思わず手で目を擦る。 いくら俺が素早いと言っても、まったく視界に捉えられない速度で動けるものなのか。 それとも、何時か見た、テレポーテーションという力か。 ともかく、俺と芳佳は美緒の視界から消え……直後、二枚貝のネウロイの巨体が、内側から弾けた。 連鎖的に黒い真珠の群れも消滅し、一瞬にして空に平和が戻る。 粉々の破片の、ごく小さな一つが、美緒の目の前に飛んで来た。 凍っている。手に取ると、冷たさを感じた。 俺がネウロイの内部に入り込み、一瞬で凍結させたのだろう。 破片は、美緒の手の中で塵になった。 「おい」 顔を上げると、俺のエメラルド色の複眼と出会う。 逞しい腕には、目を回して気絶した芳佳を抱えている。 無造作に差し出された彼女を、美緒は慌てて受け取った。 腕に感じる温かみに安堵の息を吐く。 「……生きているようだな」 「当たり前だ。あの程度の奴を相手にして、俺が仲間を死なせるか」 俺が牙を剥き出しにして笑う。 美緒はふと違和感を覚えたが、それが何なのかは分からなかった。 「だが、少し疲れた。帰って休むことにしよう」 「待て」 羽を動かし、飛び去ろうとした俺を、美緒は呼び止めた。 「何だ?」 「いつも言いそびれていたからな。……協力、感謝する。ありがとう」 俺は何も言わなかった。 風もないのに、櫛状の触角がぴくぴくと震える。 四枚の羽を広げ、俺は上昇。基地のある方角へと飛んでいった。 見る間に小さくなってゆく青い影を見送ると、美緒は先程感じた違和感の正体に気付いた。 (仲間、と言ったのか。宮藤のことを) 翌日。 空は晴れ渡り、日差しの暖かさが眠気を誘う午後。 芳佳とリーネは、海に出る林の中を進んでいた。 ミーナに見つかれば大目玉、どころか懲罰のため、忍び足である。 「ねえ……やめようよ芳佳ちゃん……」 「ダメだよ、今日こそ絶対食べてもらうんだもん」 芳佳の手には、カレーライスが盛られた皿。 肉や野菜を程良く煮込んだ、自慢の一品だ。 芳佳が性懲りもなく俺のテリトリーに侵入しているのは、先日の戦闘で助けられた礼をするためだった。 俺の背中に貼り付くのが精一杯で、何時の間にか気絶してしまい、起きた時には医務室のベッドの上。 幸い怪我ひとつなかったものの、戦場で勝手に動くなと美緒に叱られてしまった。 いくら芳佳が強力なシールドを張れるとはいえ、命を落としてもおかしくはない、無謀な行為だったのだ。 俺の助けがなければ、今頃は三途の川で石を積んでいたかも知れない。 そんな訳で、芳佳は再び、俺が潜んでいる筈の林に足を踏み入れたのだった。 いろいろと、矛盾を孕んだ行動ではあるが。 リーネは、林に向かう途中の芳佳を発見し、止めようとしたが、歩みを鈍らせることさえできないまま、ここまで付いて来てしまった。 侵入者に驚き飛び立つ鳥にさえ、怯えて身を竦ませている。 彼女にとって、この一帯はネウロイの巣にも匹敵する魔境なのだ。 「カレーの前に、芳佳ちゃんが食べられちゃうよ……」 「俺さんはそんなことしないってば」 樹間が広いとはいえ、陽光は枝や葉に切り取られる。 林の中は、外に比べると若干、薄暗かった。 「うーん……やっぱり見つからないなあ」 このままではカレーが冷めてしまう。 冷めたカレーは当然、不味い。 それを幸いと思ったか、リーネの瞳が輝く。 「居ないんなら仕方ないよ。今日はもう帰ろ……」 「そうしてもらいたいもんだ」 背後から聞こえた声に、リーネは悲鳴を上げて手近な木の陰に飛び込んだ。 振り返った芳佳は、ようやく現れた俺に、主人を見つけた子犬のように駆け寄った。 俺の方は、不機嫌そうに眉間に皺を寄せていたが、そんなことはおかまいなしである。 人の姿をした俺を見るのは、いったい何日ぶりになるだろうか。 この機会を逃して、再び待つ次回は、きっと遠い。 「はいどうぞ! 今日はカレーライスです!」 芳佳は皿を差し出したが、経験上、俺が素直に食べてくれるとは思っていない。 彼女の背中には、ルッキーニから借りた虫取り網が紐で括りつけられている。 「ふふふふふ、今回はお皿を浮かしても無駄ですよ。この網で捕まえちゃいますから!」 ただ遊ばれていた訳ではない。 芳佳なりに学習し、対処法を考えていたのだ。 しかし、それは無駄な努力だった。 俺は無言で芳佳から皿を奪い取ると、刺さっていたスプーンを使って、カレーライスを食べ始めた。 皿が自分の手から離れた時点で、芳佳は虫取り網を構えたが、みるみる内に減っていくカレーライスに目を丸くした。 リーネは、芳佳ちゃんが食べられてる、などと呟きつつ木の陰で体を丸めていた。 デビルマンの食欲は旺盛だった。 カレーライスは、一分も経たない内に俺の胃の腑に収まった。 「勘違いするなよ」 「え?」 米粒一つ付いていない皿を差し出しつつ、俺は言った。 「あんたには、二度も助けられた。だから、少しは言うことを聞いてやってもいいと思っただけだ」 「二度も、って……」 「とにかく、そういうことだ。それ以上聞くな」 芳佳が皿を受け取ると、俺は踵を返し、背中を向けた。 一瞬、俺の頬に見つけた赤は、果たして身間違いだっただろうか。 芳佳はしばらく皿と俺の背中を交互に見つめていたが、やがてにっこり微笑み、 「じゃあ、次は部屋に案内しますね!」 「………調子に乗るんじゃない」 騒がしさの隙間を縫うようにして、一陣の風が吹く。 ざあ、と木々が揺れ、まるで林が笑っているかのようだった。 アレハ誰ダ 十一話
https://w.atwiki.jp/oreqsw/pages/2.html
メニュー トップページ 完成SS ヒロイン別索引 50音順索引あ行 か行 さ行 た行 な行 は行 ま行 や行 ら行 わ行 SS一覧 俺設定集 俺設定集2 俺設定集3 俺設定集4 俺設定集5 俺設定集6 俺設定集7 簡単wiki編集講座 本スレ作成用テンプレ 未収録SSサルベージ +SS個別ページ1-15 BAD END サンダーヘッド リフレク キ84 弟 喉 大魔神 俺団 俺団アフリカ編 事務 メガネ メガネ 2 吸収 ロボウィッチ 男の娘 俺とバルクホルンの物語 +SS個別ページ16-30 整備兵1 整備兵2 チョコボーイ お粥 人工ウィッチ ブラックバード 三角 三角 2 三角 3 三角 4 三角 5 ナイトウィッチ 僕と俺と501 記憶の無い俺 マグロ 魔女と鋼鉄の巨人 魔法少女ヴィルるん☆ミ 先輩 スナイパー もっさんを口説いた少佐 +SS個別ページ31-45 幽霊ウィッチ トビウオ デコイ デコイ 2 デコイ 3 デコイ 4 魔女と槍 拙者で御座る 衛生兵 芳佳純愛もの 悪運な俺 ストライくレイヴン 魔力の泉 未知による未知のための遭遇 Semper Fidelis 魔法使い インク 主人公っぽい俺 +SS個別ページ46-60 異世界のウィッチ 学者 男たちの最終回 つなぎな私中尉 氷男 ロボット 白い死神 -Prototype-試作品-(試作な俺) 最上の空陸両用 スターゲイザー 俺教官 ギター野郎 アギトの俺 魔人と呼ばれる俺 不死身 +SS個別ページ61-75 ヒーローになりたい俺 流星 労働意欲旺盛無職俺。 レジ袋 パシリな俺 海岸に倒れていた俺 怪盗 出てこない俺 赤肩な俺 ネウロイ太郎 忍者 アレハ誰ダ 発明家な俺 エイラ純愛もの +SS個別ページ76-90 オレラーニャ(整備二等兵) 学園日常物 StrikeWitches IF テレポート俺 ウィッチーズが家族だったら 盲目のウィッチ 狂人俺 リンクス俺 蒼穹の絆 あの日の約束 十分俺 イーグル俺 デリカシーのない俺 スオムス派遣の大尉 ほうきに乗った俺 +SS個別ページ91-105 スカーレット・ウィッチ もっさんと幼馴染みの俺 変態パイロット 袖 パラレルワールド 隠し子 君と奏でる歌 同志俺 魔法使いの弟子 第501ストライク学園 チリ車の俺 俺と友とワンツーパンチ 闇・芳佳 デカインジャー 修羅場 +SS個別ページ106-120 ぼっち 悪魔 金持ち俺 帰宅中にエーリカに遭遇 オレの物語 ルッキーニ純愛もの STRIKE NEUROIS 幻影な私 ネウロイクエスト レイヴンウィッチーズ 空の王 スオムスいらん子中隊の俺 メッサー俺 修羅の俺 ミノムシ +SS個別ページ121-135 カラス バサッバサッ ガラス破り ネウィッチ 桜花の亡霊 妹狂いの俺 ビショップ家の俺執事 輸送機俺 電磁抜刀俺 デビルサマナー 俺 対 黒鉄ノ魔軍 ジュウシマツ軍曹 魔王の番犬 花火男 EMI!EMI! OBC -Ore Baseball Classic- 衛生兵の憂鬱 (メディックチーム) +SS個別ページ136-150 金属歯車 隕石 素晴らしき俺 NT俺 青春俺 喋れない俺 医師免許が無い俺 スタトレ俺 神喰いの私 ニパのおっぱいが揉みたい 赤鼻 レイヴンウィッチーズ2 今日のウィッチ ストライカーを履いた王子様 不良(ワル)な俺と魔女(ウィッチ)の先生 +SS個別ページ151-165 酔いどれウィッチ レヒリン大佐 双子な俺達 ストームライダー やっぱり俺は俺 淫獣さん恋をする 変態眼鏡 俺とララサーバル アパッチに乗った俺 空軍大将な僕 GN俺 SW1945~2012 更正試練を受ける俺 強化外骨格を纏った俺 衝撃波を使う俺 +SS個別ページ166-180 If 甘俺 枯れ果てた俺 Ore s Bar 我等、501特別課外活動部 Exception Witch チーター男 父と子の ドクトル俺 携帯電話を持った俺 カイエンと呼ばれる俺 技術中尉 第501俺大隊 砂漠のムラサ 俺Hero's +SS個別ページ181-195 ナイトな俺 D.H.N俺 フソージェット トンビ俺 轢かれて拾われた俺 チャーチルの犬 熊はひばりに恋をした 砂漠のボルゾイ 走狗と少女 ジョゼに愛を囁くだけのお話 ペロフェッサー私 ジャガーノート 保守用@日常AllStar 白髪俺 端っこの物語 +SS個別ページ196-210 スリーキングダムズストーリー 博士と助手 生涯童貞 ヘルマちゃんいじり PCをもってきた俺 二枚目気取りの俺 アナルワイプさん恋をする ビューリングさんと俺 エクスキャリバー キス俺 暗兵な俺 命の道標 俺とララサーバルとパトリシア パスタ准尉は空を見上げて何を思う 弱虫飛行士と堅物魔女 +SS個別ページ211-225 ティーガー乗りの俺 過呼吸な俺 兄貴な俺 オスプレイ 復讐のマロニー [色白な俺]] 俺バルク おじ様な俺 ドMな俺 器用貧乏な俺 青春俺2人目 潜水俺 ルッキーニ「シャーリーなんか拾った!」 スコップ俺 海兵隊私 +SS個別ページ226-240 シャムロック 本土守備隊俺 武器庫な俺 ビューさんの舎弟 嘘つきな俺 俺俺俺 スズランと眠り姫 喰狼―オレ― 見習い設営隊員俺 いらん子雑用俺君 オラーシャの河畔 抹殺者俺 被弾数0の俺 GTO 編集連絡 編集練習用 簡易避難所 避難所 リンク @wiki @wikiご利用ガイド
https://w.atwiki.jp/strike_witches/pages/341.html
ストライクウィッチーズ 第413統合戦闘航空団より 302 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 22 02 54 ID eVfzUOjQ / / ,. / レノ! !ヽ、 、'、', /, i /|/ ノ'!! 从 i ,丶ヽ} i/i , | / ト-‐'' ヾヘト‐-トヘ!ヘ. ', レ'゙|i'v ‐--' `--‐ ´i ヘト' 、.ゝ'、 、 ,κ了 貴様らには常識がないな。まったく・・・ フ'./ヽ.、 rっ , l」';.ヘ __|__,L-r(i`' -‐´ i)` 、⊥.L..、 _/` 'ー┤ ',\ ノ r 、|ー‐'r \__ .「,_ '、 i ', ,X∠,w' | .,' '´ '、 / .Vr'レvト,シ楽く-γヽト‐、 丶 ./ //. ´/ハ', 厂丶、 \ , ' / 八. i ||゚|| i ./ 丶、 ヽ、丶 '<. ヽ ! || !| i. ,' /" 丿 丶 ┤ ', l_l |゚|i_i ; l '/ 丶 ゝ ; .| ! ,′ ,/ ノ | ゙ ` .、 .ノ |゚| .{ iゝ、 / 丶 /´` 、 /o.~) ! ! ( ̄o'; / ,ゝ、 / 丶'7 l |__r-.,/ ! | ';r''ヘ,___iイ | (、、、h‐-/ / !‐l ヘ ';-‐ト,ノソ ``´ |. ゝ'、 '; .| /人\. '; | / !! .|\\ '、 303 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 22 03 56 ID 89ZbfHlg 302 ズボンをつかみながら言っても説得力がありませんわ 304 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 22 04 28 ID dbtrHMJS シャーリー「姉貴。この書類の書き方教えてくれよ」 305 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/09(月) 22 09 37 ID dbRGrW9x 304 __ , <  ̄ `>、 / i ヽ ヽ、 / ;! /l ; \ ヽ // / / ;ハ / Vト、i ヘ ハ 残念ながら女同士で婚姻届は受理されない ,イ/ / / / ,Y- ハ ヽl ヘ l 不本意かもしれんが、養子縁組で私の妹という事で我慢しろ. // / イ // l i ! l! .V '; ! jイ ;イ ;∠ィ-―- vヘ |-t―ト、 V. l / l / ,イチム V!ィ升へ V v-、). ´ l 人! 弋_ン `弋_ク V.,イ/ レ ハ , /_ノ '´ rニヘ、 _ _ / _二7 / ;> ィ´l_ハ ヽ. / 7 /`!ー .<ト、 ! ヘ l l/ lノ ,V ヽ、 l l l; ィ/ lヘ _ ノ/ _ .へ!、 l_ r‐(二イ レ^ く_ //// ト、_ コ-、 / l i / ヽ! / Li/ l / l 562 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/10(火) 01 16 46 ID t/Qb0fAQ ルッキーニ「探し物は何ですか 見つけにくいものですか 脱衣所の中も 食堂の中も 探したけれど見つからないのに まだまだ探す気ですか じゃああたしと追いかけっこしませんか ペリーヌのズボン ペリーヌのズボン 取り返したいと思いませんか ウジュッジュー ウジュッジュー」 567 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/10(火) 01 23 25 ID M7RG0Udv 562 ルッキーニ「探すのをやめたとき エイラに見つかることもよくある話で 使いましょうエイラのズボン 下に行ってみたいと思いませんか~ ウジュッジュー ウジュッジュ- 」 シャーリー「ごぉぉらぁぁぁぁぁー」 896 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/10(火) 18 07 24 ID kojRqc2W __ , <  ̄ `>、 / i ヽ ヽ、 / ;! /l ; \ ヽ // / / ;ハ / Vト、i ヘ ハ 無口…クールはいいものだ ,イ/ / / / ,Y- ハ ヽl ヘ l 宮藤も熱血キャラはやめてクールにだな…. // / イ // l i ! l! .V '; ! jイ ;イ ;∠ィ-―- vヘ |-t―ト、 V. l / l / ,イチム V!ィ升へ V v-、). ´ l 人! 弋_ン `弋_ク V.,イ/ レ ハ , /_ノ '´ rニヘ、 _ _ / _二7 / ;> ィ´l_ハ ヽ. / 7 /`!ー .<ト、 ! ヘ l l/ lノ ,V ヽ、 l l l; ィ/ lヘ _ ノ/ _ .へ!、 l_ r‐(二イ レ^ く_ //// ト、_ コ-、 / l i / ヽ! / Li/ l / l 897 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/10(火) 18 10 26 ID HFlJ3BrK |ト、 .-y=====┐.. イ! || ' . / ヽ. `く || |レ'. . ノ  ̄ ̄ ̄ \ . ヽ!! /_/ ∞ \ ', [___________] 896 l. / . . .,'. . .. l/‐-/ l. / -',. . . . , 何言ってるんですか。私はいつもクールですよ? V. . ‐l . . ちホ /ちホV. . .', だからおっぱい揉ませてください ,. '. . .{ |. ./{ ト-j ト‐j l∧. .'、. ∠イ',八__|/_ `´ `´ ハ.∧. .\ )ハ \ 'ー=-' ノ  ̄ Vl 〕 r≦ ,x ヽ `x / \ヽ \___} //ヽ 898 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/10(火) 18 12 24 ID 4besFGew 897 ___ , . ‐  ̄ .`丶 / ./ l .ヽ .ヽ ヽ. / ./ l |l. .ハ ハヾ__ _ヽ 〃 ./|l |. ハ ハ ハヾー-- ハ ハ . .リ⊥  ̄/イ´ ̄` }ニ彡ノ ヽ わっはっはっは!何を言っているんだ!. {! L ハ 〃Y r===、 Yr‐ 、 . .ハ 今の時代は熱血だ!燃えた者が勝つる! }〃丿, 〃.ぇ } } . .l 燃え上が~れ!燃え上が~れ!燃え上が~れ宮藤~! ├‐' r-―┐ ! __,ノ! l ヽ ∨ ノ ィク_ |ト. l >、 ー , ... |⌒ヽ. |!ヘ . l `¨T _,.ィ゙! l! V | 「V´ ,⊥-==ー戈{ /゙゙fニニア゙イ」 -‐ 彡'゙¨ ̄ / ハ. / / ヾノrぅ ´ 〃 ー---ハ r'゙〃 / 〈  ̄¨''ー--} ストライクウィッチーズ 第414統合戦闘航空団より 55 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/10(火) 21 21 25 ID SdRP8+jH トゥルーデお姉ちゃんが二期の正ヒロインに決まったと聞いて 病院から飛んできました 56 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/10(火) 21 22 06 ID QrgjwJ7g クリス無理するなよ・・・ 58 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/10(火) 21 23 22 ID M7RG0Udv 55 トゥルーデ「落ち着けクリス、それよりズボンを穿かんかぁぁ!!」 431 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/11(水) 01 32 58 ID lbAoAWsH |┃三 |ト、 .-y=====┐.. イ! |┃ || ' . / ヽ. `く || |┃ |レ'. . ノ  ̄ ̄ ̄ \ . ヽ!! |┃ /_/ ∞ \ ', ガラッ.|┃ [___________] 今日はミーナ隊長の |┃ l. / . . .,'. . .. l/‐-/ l. / -',. . . . , おっぱいの話がない! |┃三 V. . ‐l . . ちホ /ちホV. . .', |┃ ,. '. . .{ |. ./{ ト-j ト‐j l∧. .'、 |┃三. ∠イ',八__|/_ `´ `´ ハ.∧. .\ |┃ )ハ \ 'ー=-' ノ  ̄ |┃三 Vl 〕 r≦ |┃ ,x ヽ `x |┃ / \ヽ \___} //ヽ 432 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/11(水) 01 34 09 ID Dz1FdrS4 隊長のおっぱいは見て安心できる重量感 いっぱい!ってほどじゃないけど、あるねっ!って感じの安心感のある乳 470 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/11(水) 04 22 57 ID rN1Cw1WO 芳佳・エイラ・ルッキーニ 「♪今日は中佐の誕生日で 乳が揉めるぞ~ 乳が揉める揉めるぞ~ 乳が揉めるぞ~ という訳で揉ませてください、中佐。 567 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/11(水) 13 12 01 ID U0Y5ZHL8 __ , <  ̄ `>、 / i ヽ ヽ、 / ;! /l ; \ ヽ // / / ;ハ / Vト、i ヘ ハ ,イ/ / / / ,Y- ハ ヽl ヘ l. // / イ // l i ! l! .V '; ! jイ ;イ ;∠ィ-―- vヘ |-t―ト、 V. l / l / ,イチム V!ィ升へ V v-、) 私はバニーの格好. ´ l 人! 弋_ン ' 弋_ク V.,イ/ そして宮藤に狼の格好をさせれば レ ハ , /_ノ '´ 宮藤に襲われる構図が出来上がる(性的な意味で) rニヘ、 ,____., / _二9 / ;> `ーi!′ ィ´l_ハ ヽ. / 9 /`!ー .<ト、 ! ヘ l l/ lノ ,V ヽ、 l l l; ィ/ lヘ _ ノ/ _ .へ!、 l_ r‐(二イ レ^ く_ //// ト、_ コ-、 / l i / ヽ! / Li/ l / l 581 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/11(水) 13 31 04 ID AfFSXn9C 「お前も妹だからな お前の乳は私のもの 私の乳は私のものだ シャーリー」 642 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/11(水) 17 10 35 ID b5/vcz+J エイラに告白されてなんだかよくわかんなくなってギクシャクしちゃうサーニャかわいい エイラもふられたと思って自暴自棄になってネウロイにやられそうになったときにサーニャが盾になって墜落 エイラが駆けつけるとサーニャがショックで心臓が止まってて エイラ涙ボロボロ流しながら人工呼吸 心臓マッサージ 必死の救命措置のかいあってサーニャ蘇生 サーニャに抱きついてわんわん泣くエイラ ネウロイは増援のウィッチが倒してみんなで帰還 その日1日サーニャにつきっきりのエイラだったが 今さらサーニャに人工呼吸したのを思い出して真っ赤に サーニャもエイラに本当にあいされているのをわかって告白OK 648 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/11(水) 17 20 55 ID IU1WFm5Q エイラ「サ、サーニャ!スススススキナンダナ!!」サーニャ「私もエイラの事好きだよ・・・」エイラ「!!!!!サーry」宮藤「じゃあじゃあ!サーニャちゃん私のことはー?」サーニャ「芳佳ちゃんも大好き・・・」宮藤「えへへ~照れるな~///」エイラ「ミ!!ヤ!!フ!!ジーーー!!」 | /\ | / イ | |/ __、ヾ |i / / ,,イ| /イf´ トミXハ ノ/_,,≦、、.| / ヾ弋C ノ ヾ|/! ´,f´ ハY´ ` ̄... .. 弋C ノ |! /|// , /|/丶´ '' 652 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/11(水) 17 30 43 ID yrJrXbL4 宮藤におっぱ揉まれて股間がネットリビショビショップなリーネとか 夜中にハルカに乳首弄られて指2本挿れられて獣のような声を出す智子とか 皆が寝静まってサーニャも出て行った後部屋で2人ああんなミーナ隊長と坂本少佐とか 色々あるネー 654 名前:名無しさん@お腹いっぱい。[sage] 投稿日:2009/03/11(水) 17 33 13 ID n0CMbUtK / / ,. / レノ! !ヽ、 、'、', /, i /|/ ノ'!! 从 i ,丶ヽ} i/i , | / ト-‐'' ヾヘト‐-トヘ!ヘ. ', レ'゙|i'v ‐--' `--‐ ´i ヘト' 、.ゝ'、 、 u ,κ了 ミーナにケーキのひとつでも買おうかと思ったらポケットに1銭もないな フ'./ヽ.、 rっ , l」';.ヘ 景気が悪くてケーキも買えなかったとでも言っておくか __|__,L-r(i`' -‐´ i)` 、⊥.L..、 あぁちょっとばっかりねんどろ宮藤買いすぎたかな・・・・ _/` 'ー┤ ',\ ノ r 、|ー‐'r \__ .「,_ '、 i ', ,X∠,w' | .,' '´ '、 / .Vr'レvト,シ楽く-γヽト‐、 丶 ./ //. ´/ハ', 厂丶、 \ , ' / 八. i ||゚|| i ./ 丶、 ヽ、丶 '<. ヽ ! || !| i. ,' /" 丿 丶 ┤ ', l_l |゚|i_i ; l '/ 丶 ゝ ; .| ! ,′ ,/ ノ | ゙ ` .、 .ノ |゚| .{ iゝ、 / 丶 /´` 、 /o.~) ! ! ( ̄o'; / ,ゝ、 / 丶'7 l |__r-.,/ ! | ';r''ヘ,___iイ | (、、、h‐-/ / !‐l ヘ ';-‐ト,ノソ `` ´ |. ゝ'、 '; ; .| /人\. '; ; , ; | / !! .|\\ '、